2020.6.30東京事務所が19日から業務再開

コロナ禍で先が見通せない中での開所、改めて費用対効果検証の必要性

 

 東京都内で連日新たな感染者が確認されるなど、未だコロナ禍の収束が見えない中、市では東京事務所の業務を19日から本格的に始動した。福岡事務所の閉所と共に、東京事務所の開所を昨年の市議会12月会議で可決。4月1日から開所としたが、新型コロナウイルス感染症の影響から、同月2日から今月18日までの約2か月半の間、臨時閉所となった。先月25日に緊急事態宣言を全面解除、今月19日には都道府県をまたぐ移動自粛を解除、国の施策となる「GoToキャンペーン」を今夏に控え、各観光地の需要回復を目指す動きに変わってきた。しかし、収束が見えない中で市は、都内年間200社の営業訪問などの目標を掲げている。現況での開所方針や費用対効果など、再び疑問が浮かぶ。

 

 壱岐市東京事務所(東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル2階、☎03-5962-9906)は、東京都市圏から全国に向けて本市の認知度の向上や、情報発信を目的として開所し、横山将司所長とスタッフ1人の計2人が常駐する。主な業務は「観光宣伝・観光客誘客」「物産宣伝・紹介、販路開拓・販売促進」「中央官庁その他関係機関との連絡調整」「その他市長特命事項」などを担う。

 同事務所の開所が議論されたのは、コロナ禍以前の昨年12月の市議会までさかのぼる。また、本市にコロナの影響が起きる直前の市議会3月会議での白川博一市長の行政報告では、市内観光施設来場者数や航路航空路利用者数から「観光は軒並み好調を維持」としていた。しかし、3月議会会期中の3月14日、市内で初の感染者が確認され、4月には新たに5人の感染者が確認された。これ以降、本市観光者数は激減し、厳しい状況となっていった。コロナ禍以前と以後で大きく変わった観光事情だが、東京事務所に関して事業方針の変更はなかった。

 白川市長は、市議会6月会議の所信表明で「東京事務所は4月1日に開所したが、都内における新型コロナウイルスの感染者数が劇的に増加した時期と重なったため、一旦、臨時閉所とし、県の方針に従って6月19日から本格的に始動する」と述べるなど、市はこれまで通りの継続路線を貫いている。

 同事務所の横山所長は「基本的には3月議会で説明した通り、旅行関係社へ年間200社の訪問営業と物産振興や食材の宣伝など、足を使っての外回り営業をする」とし、ここでも営業方針の変更はないことを示した。しかし、「現在、東京都では在宅勤務の会社が多く、訪問しても『今は遠慮願いたい』と言われる」と現況を述べた。

 

開所を可決した市議会も疑問を抱えた上の判断

 一方で、同事務所開所の話が上がった昨年12月の予算特別委員会では、開所に懐疑的な意見が集中した。市議会も市の説明に今後の営業展開や誘客への具体的な戦略が見えないことから、委員長意見付きを条件として可決した。

 12月議会で議員は、「市民から『福岡事務所閉所の代わりに東京事務所開所とは何を考えているのか』と意見が届く」と民意を伝え、また「将来に向けてと言うが、市の財政にその余裕はあるのか。東京事務所開設の費用対効果は考えているのか」などと意見した。白川市長は「成果を上げるため、がんばっていくのみ」と理解を求めた。

 本年度の当初予算では、同事務所開所による事務所代や経費、職員の活動費などに年間1386万4千円の予算がかかると示されている。また、この予算に現地職員2人分の人件費は含まれていない。

 白川市長は今回の所信表明で「自主財源に乏しく、財源の大半を地方交付税等に依存している本市は、今後さらに厳しい財政運営となることが予想される。時代の変化に柔軟に対応し、将来に過度の負担を残さないよう、優先順位を意識した効果的な事業の『選択と集中』を行っていく必要がある」と財政状況を示している。

 今一度、各事業の費用対効果を検証し、選択すべき時にいるようだ。