2023.11.14イルカパーク、水質・海底土に問題なしと結論

今年イルカ3頭の死亡が相次いだことから、園内の水質調査を実行

 

 今年になり、壱岐イルカパーク&リゾートでイルカ3頭の死亡が相次いだことを受け、市は先月12日、新たにイルカ2頭を購入、1頭を借用し同園に搬入した。購入費などにかかった費用は1128万円、市議会9月会議で補正予算として計上し、市議会は賛成多数で可決。一方で議員から「死亡の明確な原因がわからない」など購入に反対する意見もあり、市は早急な原因究明が課せられていた。今回実施した水質調査では主に水底付近の海水と海底土を採取、調査結果は一般的な海水や海底土と比べ、大きな基準差はないことがわかった。

 

 市は、水質検査を8月7日に実施、水底直上すれすれのところにある水を採取し検査を行った。検査項目は、海水に含まれるカドミウムや亜鉛、ヒ素やマンガンなどの元素や、COD(化学的酸素要求量)や溶存酸素量など16項目を調査。外洋表層面と同園水底との比較を数値化した。調査結果では、鉄とマンガンの値がわずかに高かったが比較した海水が外洋表層水だったため、同園底質からの溶出分との差があったものと説明している。市の説明では「夏場は最も水質が悪化するタイミングであり、あえてこの時期に行った」とした。

 9月28日には同園海底土と同園外洋側の海底土を採取し調査を実施。検査項目は、水銀、カドミウム、六価クロム化合物など9項目。いずれも基準値を下回る結果だった。これら検査結果により、同園の水質や汚泥は通常基準値とほぼ同じであり、問題がないことがわかった。

 同園では2019年のリニューアル以降、計7頭のイルカが死亡した。今年に入ってからは2月28日、6月14日、9月25日と計3頭のイルカが死亡。9月のイルカ死亡は市議会9月会議の会期中だったが、市議会判断は死亡報告を受けた中でも賛成多数で購入予算を可決。ただし「死亡の原因究明をしない中で購入するような行政であってはならない」「購入前に水質や汚泥調査が必要」などの意見があった。

 市の説明では、現在の同園のイルカの寿命は、搬入以降から約2年半だという。また、リニューアル以前にもビニールなどの誤飲による死亡があったため、以前から汚泥調査の必要が求められていた。同園リニューアル後より相次ぐ死亡では、肝機能に影響が起きていたことが公表されている。これらのことから、市民の中からも早急な調査の声が上がっていた。

 調査結果を受けた以降も市は飼育環境改善のため、湾奥にあった生簀を外洋部に近い湾口部に移動。海水入れ替えの水中ポンプの試験稼働などを試みている。