2018.11.06島民割に近い旅行者運賃に

島外旅行者の運賃が割引「わくわく乗船券」発売

 

 国境離島新法により、離島在住者などは島民割引として航路・航空路運賃の大幅値引きが実現している。しかし一方では、島外在住者が各離島に行くための航路運賃の割引を望む声もある。県と県観光連盟は「長崎しま旅 わくわく乗船券」の販売を先月31日から始め、個人や団体旅行者の離島航路往復運賃は実質的に島民割引に近づいた。

 

 国境離島新法施行により、新法に該当する離島の島民は施行以前の航路運賃から、最大で半額近くの割引が実現している。運賃低廉化は離島民の交通の利便性に大きく貢献し、島外旅行や買い物などで航路利用者は増加傾向にある。

 一方で、離島から就職や進学で島を離れた元離島民や、観光で島を訪れる旅行者などにも同様額の割引が適用できないかとの議論や要望はこれまでにも繰り返されてきた。

 このような要望により、県と県観光連盟は国境離島新法に基づく国の交付金で、個人や団体旅行などの離島航路を利用する旅行者に、実質的な運賃低廉を実現する「わくわく乗船券」を発売した。発売は先月31日から始まり来年2月28日まで、各航路乗船窓口で購入できる。販売数量は県内の該当離島全て計7000枚、予定数に達した段階で終了する。

 乗船券は、通常の往復運賃相当額に観光体験クーポンがセットで、宿泊する条件で島民割に近い運賃額となる。実際の購入額は、通常往復料金にプラス100円になるが、大人2000円、小人1000円の体験クーポンが付与されることで、実質的な値引きになる。

 クーポン利用で本市が行う観光体験プログラムは、壱岐島巡りの定期観光バスや辰ノ島クルージング、イキエコ(EVスクーター)体験などの観光地巡りや、シーキャンドル作り、漁火ランプ作りなどの体験メニューなど全11種類。県の観光ポータルサイト「ながさき旅ネット」で閲覧できる。

 同プランを導入した県は、滞在型観光など交流人口拡大につながる期待を寄せている。しかし離島に実家がある島外在住の離島出身者などにはメリットは少ない。今後、準島民割引の該当幅拡大にも期待したい。