2018.10.30責任の所在は誰にあるのか

 賛否に揺れる縄文祭開催とその後の会場内芝生の損傷は、大きな問題として残った。一応、運営側は原状回復を行うが、これは結果論でしかない。市は開催前の企画段階から事態の予想と対応、さらには許可をすべきかどうかの判断はできなかったのだろうか。

 

 市筒城浜ふれあい広場条例の第5条に「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとき」「施設又は設備を損傷するおそれのあるとき」「管理運営上支障があると認められるとき」「営利を目的とした事業又は特定の政党及び特定の宗教団体の行う事業と認められるとき」は、市長はふれあい広場の利用を制限し、又は利用を取り消すことができると定められる。しかし「市長が特別な事情があると認めたときは、この限りでない」とあり、市や市長の判断が適切だったのか検証が必要だろう。

 

 巷の情報や主催者のブログ等から判断すれば、「特定の宗教団体の行う事業」に限りなく近く、白か黒かとなれば黒に近いグレーになる。さらに「営利を目的とした事業」では、参加費用が3万円台から最高額は8万円台となり、通常のイベントから見れば法外的に高額であることがわかっている。この部分は市が条例に基づき利用許可を出しているのだから、営利目的だったのか運営費の収支の提出を求める義務があるのではなかろうか。

 

 「公の秩序又は善良の風俗を害する」では、会場となる芝生広場には保護者同伴とはいえども、小さな子ども達が深夜は気温12度程の寒空の中で一夜を過ごしている。また開催前後から音響による騒音問題は指摘されていた。この部分も管理者である市はしっかりとした検証をすべきだ。この部分も同条例3条に「管理者は市長とする」と明記されているからだ。

 

 そして今回問題となっている芝生広場の芝生の傷みについても同条例には明記がある。第10条に「利用者は、施設等の利用が終わったときは、速やかに当該施設等を原状に回復し、又は搬入した物件を撤去しなければならない」とあり、「利用者が義務を履行しないときは、市長において原状に回復し、これに要した費用は、利用者の負担とする」と記される。この条例部分の判断から、市と県はイベント運営側に全責任を持って原状回復の指示をしている。

 

 また11条には「利用者が、故意又は過失により施設等を損傷し、又は滅失したときは、利用者は、それによって生じた損害を賠償しなければならない」とある。ただし「市長が特別な理由があると認めたときは、この限りでない」と記され、市長判断は特別な理由は認められないとする。一部市民から「このイベントによる芝生の傷みの回復に、市の税金が使われるのではないか」の問いがあったが、どうやらその心配はなさそうだ。

 

 壱岐島内でこれだけ大規模なイベント開催は例を見ず、市民との調和を保ち、適切な秩序が保たれていたならばと残念でならない。この先、大物ミュージシャンが来島し、野外イベントを開催する良き前例になるはずが、今回で開催しにくい状況が生まれやしないか、危惧する部分は大いにある。

 縄文祭を終え、さまざまな状況や対応の中から思う。壱岐の今と今後を考え「残念でならない」気持ちしか残らない出来事だった。(大野英治)