2018.11.06この機会に正常化に向かうべき

 現在、本市ではこれまでに行われてきた工事入札等の不信や疑惑で、住民からさまざまな憶測が飛び交っている。当紙への問い合わせも毎週のようにあり「何が起きているのか。なぜ詳細が記事にならないのか」との意見が寄せられている。狭い壱岐にいれば、島の中で起きた出来事や話題は電光石火のごとく知れ渡り、口づての情報は週刊で発行する島内新聞よりも先行することが多々ある。

 

 原則的に公の情報発信は事実確認と正確な状況把握、そして報道すべき裏取りと確定がないとできない。しかし先にも述べたように、島内を駆け巡る憶測や噂が、外出先や職場などで耳に入りやすいのは狭い離島ゆえの特徴だ。ここまでの広がりを見て、大手新聞ならいざ知らず、市民に近い立場にいる島内新聞が触れないわけにはいかないと考え、この段階で可能な部分のみまでを触れる。また内容は島内に広がる憶測範囲までにする。

 

 状況は、先月から公的な捜査機関が本市に入り、昨年10月に執行した工事入札の疑義について調べを進めている。またそれに伴い、前後する時期の入札経緯も調査されている。取り調べは市の関係職員や関係した建設業者が対象。また任意同行で調べられている関係者もいる。捜査はこの先もしばらくは続くものと思われる。

 本市は以前から入札については、ずさんとも思える執行や不信感を抱くことは慣例のごとく起きている。ここ2、3年を遡ってもいくつもある。

 

 先の市長選における選挙後の対応で、相手の候補者陣営を応援したとされる建設業者が、突如、入札から外される処置を受け、白川博一市長は「信頼関係を失った」を除外理由とした。この出来事は告訴まで発展することになった。

 

 また約3年前には市教育委員会が市内小中学校の消防設備の入札で、見積もり業者1社の参考見積もりを基準にし、その見積もり業者が落札するという、公平公正にかける入札執行をしている。そのことから一時は市議会でも百条委員会を設置し疑義を究明すべしとの意見も出たが、議会は総務文教公正委員会に調査を任せ、結果的には「事務的な不手際はあったが」のみの判断で調査を終えている。しかしその後も結論に納得できない一部の市民から、追及の声は消えることはない。

 

 その約1年後、市教委が入札を執行した芦辺小建築設計の入札で、島外落札業者の対応に疑問が生じ、入札業者選定に不信があるのではないかとの疑惑を生んだ。

 

 今年は葬儀場(火葬場)の初回入札では発生元や事実不明の入札談合情報が起きて中止となり、その後の再入札でも予定価格を上回る不落で終えている。一連を見るだけでも、わずか数年のうちに入札不手際どころか疑惑を感じざるを得ない執行がいくつもある。

 

 今回、ここに挙げたこと以外の調べも進めていると予想する。素人目にみても確かに不信はある。やるべきことは誰かが得をする状況や偏った決定が起きることがないよう、この機会に島内の正常化に向けた公平公正で納得いくような仕組みに戻していくことではなかろうか。もしも問題があるなら正すべきを正すことは当然であり、犯したものを償うのはこの社会のルールである。当たり前を当たり前にしていくことが正常化の道だ。(大野英治)