2022.10.05認定こども園、建設地反対の署名2550筆
市民団体「要望が受け入れられるまで署名活動は継続」
郷ノ浦町柳田地区で建設計画を公表した民間運営の認定こども園建設計画案に対し、市民団体「壱岐のこどもの健やかな育ちを守る会」(山内裕司、割石賢明共同代表)が27日、郷ノ浦庁舎2階の市長室に出向き、市民から集めた「建設場所に反対する署名」を白川博一市長に提示した。同団体は先月28日から署名活動を行い、約1か月間で2550筆を集めた。同団体は、建設予定地が土砂災害特別警戒区域に隣接していることや朝夕の交通量が多いことなどから適地ではないとして、建設場所の変更を求めていた。
署名を白川市長に提示した割石賢明共同代表は「なぜ危険な地にこども園を作るのか。市有地は考えなかったのか」と同予定地が子ども達の育成に不適地だと訴えた。白川市長は「事業者の考えもある。市が一方的に市有地提案などはできない」とし「市は建設の当事者ではないため、署名は受け取れない。事業者に渡してもらいたい」と返答した。
同団体は、「認定こども園の建設場所に反対する署名」の活動を先月28日から始めた。署名活動を始めた理由は、建設場所で過去に起きた大雨による被害や土砂災害の危険、周辺道路の交通量の多さがあり、子ども達の育成には不適地として建設用地の変更を求めた。
要望項目には▽予定地の現地見学会を実施し、住民説明会を実施すること▽市有地で建設に適切な場所を法人へ提案すること▽認定こども園の建設予定地を安全な場所へ変更すること-の3項目を掲げた。
署名提示に同行した武原由里子議員は「署名目標2000筆は本市有権者数の約1割。活動1か月で上回った。今後も要望が受け入れられるまで継続して署名は続ける」と述べた。
県と市で認識の矛盾
一方で、同園の建設計画を進めていた社会福祉法人北串会(雲仙市、中路秀彦理事長)は13日、市に対して「事業の延期が理事会で決定された」と報告した。
県こども未来課は22日、当紙の取材に対し「同会から現在の建設予定地に対する補助金申請の取り下げがあった。今後、建設予定地を変更するかの確認はない」と答えた。しかし、同日の市こども家庭課への取材では「本市には、取り下げの確認はない」とのみ答えた。県と市で認識の違いから、短期間で建設計画の変動が起きている可能性も考えられる。※当紙発行後、県から「取り下げはない」と改めて回答。
同会は2024年4月、
同地で開園を予定
9月会議最終日の27日、白川市長は「同会理事長が22日に来庁し、文書による事業延期の申し入れがあった」と明かした。文書には「延期の理由には、建設請負業者との調整に時間を要したこと、ウクライナ情勢などによる物価高騰、建設資材の入手が困難になったことなどから、来年3月末までの工事完了が困難であると判断した。よって同地での開園を1年延期し、2024年4月の開園とする」という内容だった。
文書を受けた白川市長は「建設予定地の危険性を問われているが、十分な安全対策を講じ、市民の不安を払拭するよう、同会に対し強く申し入れた」と述べた。
同会は11月6日、保護者や子育て世代の市民に対し、壱岐の島ホールで説明会を行うことを発表した。事業の延期に至った経緯や開設予定の認定こども園施設概要、安全対策や保育サービスの内容などを説明する予定だ。