2020.4.21市長選、白川氏が僅差で制し4選 投票率67・07㌫と前回選挙から12・09㌫も減

 任期満了に伴う市長選の投票が12日、30選挙区で行われ即日開票の結果、白川博一氏が4期目の当選を決め厳しい選挙戦を制した。白川氏の獲得票は7371票、森俊介氏の獲得票は7042票とその差329票とせめぎ合い、最後まで気が抜けない開票となった。今回の当選で、白川氏による4期16年の市政が始まった。

 

 現職と新人候補の一騎討ちは、12日の当日投票が市内30投票区で午前7時から始まった。午前10時段階で当日投票者数は2909人で投票率13・43㌫、午後0時では投票者数5356人で投票率24・73㌫、午後4時では投票者数7847人で投票率36・23㌫と(平成28年は同時刻47・78%)と伸びることはなかった。

 当日の有権者数は、男性1万197人、女性1万1464人、有権者数計2万1661人。有効投票者数は、男性6940人(68・06㌫)、女性7587人(66・18㌫)、投票率67・07㌫、投票者数計1万4527人となっている。無効投票数も114票と多かった。期日前と当日票を合わせても前回の市長選より12・09㌫も低い推移となった。

 

コロナの影響で過去にない選挙戦

 選挙を戦った両陣営や一票を投じる有権者らは「今回の選挙ほど先が読めないものはなかった」と語った。両陣営は、全国で広がる新型コロナウイルス感染拡大の影響と、4月に入り5人続いた市内感染者の発生で、通常の選挙戦とは違う戦い方を強いられた。屋内での集会や支援者との握手や密接した会話を控え、両陣営とも5日の出陣式は取り止めた。白川氏は感染拡大防止のため陣頭指揮に専念し、その後の遊説も中止した。森氏も告示前最後の意見交換会を取りやめるなど、自粛要請の中での限られた状況で行った。

 有権者も「市民の関心がコロナウイルス感染に向いてしまった。また、両候補の政策をじっくりと聞く機会もなかった」と、戸惑いの中で投票を済ませたと言う声もあった。公開討論会は無観客となり、市ケーブルテレビやFMラジオの放送のみで、候補者が揃って政策を語る生の声を聞く場も失われた。

 全国的にウイルス感染拡大のニュースが流れるたびに「本市は大丈夫なのか。投票所で感染はしないか」との不安から、期日前投票は日を追うごとに増え始め、11日には5817人(平成28年は5637人)となった。有権者数は4年前と比べ802人減(平成28年は2万2463人)となったものの、前回をしのぐ180人増で市民が期日前投票を済ませた(別表)。

 今回の投票率の低迷は、当日票の低さが要因となっている。しかし、投開票日は終日降り続く雨と暴風警報が発令、密室に近い投票所での新型コロナウイルス感染への警戒感が、市民の足を止めてしまったようだ。

 

329票差に白川氏「多選批判もあった」と自らを分析

 開票は午後7時から壱岐の島ホール中ホールで始まった。午後7時半頃の中間発表(開票率48・21㌫)では、白川氏、森氏共に3500票と並んだ。午後8時頃に開票が完了し、白川氏の勝利が確定した。

 当選が決まり、支持者が詰めかけた芦辺町の住吉神社横の住吉会館は熱気に包まれた。白川氏は「今回の選挙は、新型コロナウイルス感染者が発生したため選挙遊説を辞めた。有権者とのふれあいや主張を届けることができない中で、これまでとは違った選挙戦だった。相手陣営を含め、市民同志でSNSによる意見交換もあり、見えない選挙でもあった」と戦いを振り返った。

 329票差の勝利については「選挙活動をしなかった中で、市民の反応もわからなかった。不安がそのまま結果に現れたと思っている。自身では市民の声に応えてきたと思っているが、多選批判もあったのでは」と語った。続けて「結果は僅差だったが、皆の力強い支援があり当選できた。これは『白川よ、もっとがんばれ』のメッセージとして、この結果を真摯に受け止め今後の市政に生かしていく」と次期市政への意気込みを述べた。

 白川氏は、感染症により市内各産業や市民生活に影響を及ぼしている現状の打開策として「市単独の経済対策を行う。4月議会で飲食店や宿泊など島内経済が回るような商品券発行などの経済活性化の特別対策予算を上程する。支援策は急を要するので2か月以内をめどにする」とし、当選後すぐの取り組みを示した。