2020.12.22疑念を生まない契約遂行を
市議会12月会議で、九電工と2億7225万円の随意契約の議案について、再び質疑が重ねられた。
前回の市議会9月会議と今会議での市議らの質疑や、市による議案撤回などの一連の随意契約の流れを見て思う。市は9月会議の議案上程で、なぜ、今回のように公募型プロポーザルを経た契約方法を取らなかったのか。高額契約であれば、なおさらのことであり、問題もここまでにはならなかったはずだ。
9日の議案審議で町田議員は「法的な問題を問うているのではなく、世間から見てこの契約に公平さがあるのかが重要」と述べ、音嶋議員も「疑念を抱かないような入札制度にしてもらいたい。最初からプロポーザルだったならば、こういう議論は起きなかった」と述べた。
同様の随意契約は別議案でもあった。市議会11月会議で上がった、GIGAスクール構想の一環「市小中学校情報通信ネットワーク環境整備等工事請負契約の締結」だ。最初から公募型プロポーザルを経て、1億8040万円の契約額で西部電気工業株式会社長崎支店(諫早市)と随意契約している。市は、この契約に上程日即日採決は求めていない。当然ながら、議会の紛糾は起きなかった。きちんと公募をした後の契約上程だから当たり前のことだ。
9月会議での九電工との随意契約だけ、疑念を抱かざるを得ない経緯の契約だった。繰り返し述べているが、市は急きょ、議案の撤回で振り出しに戻した。しかし、撤回したからとは言え、一度公になった上程議案がなかったことにはならない。撤回理由の説明も足りていない。
この疑念が生じたことで、同工事契約は3か月のずれが起きた。疑念ある議案に異議を唱えることは正常な議会の姿といえる。工事契約にずれが生じたとは言え、議会の判断は正しかった。
問題はやはり、9月会議で疑問が生じる議案を上程した市の執行部にある。契約ごとは慎重に正確に。公平さに欠くような疑念を持つ印象を与えないことは、法を遵守することと同様に大切だ。過去に入札問題で本市は県警の捜査を受けている。「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ではあるまいし。(大野英治)