2020.12.22イルカパーク経営を議員が言及

「民業の圧迫があってはならない」など指定管理者の運営に指摘

 

 市議会一般質問で10日、町田正一議員は壱岐イルカパーク&リゾート(以下、イルカパーク)指定管理者のイキパークマネジメント(株)(高田佳岳社長)に対して、持ち時間50分すべてを使い経営状況を問うた。イルカパークの現指定管理者期間は昨年度から来年度までの3年間となっている。町田議員は「固定費は毎年多額で、市は設備費などに多額を投入している。来年度から国の補助金も終わる。この状況で来年度以降、自走できるのか」と疑問を投げかけた。町田議員は市長に対し「行政はすべて結果責任だ。どれだけ素晴らしい夢や思い入れがあろうと、結果がついてこないとなれば、すべて行政の責任だ」と厳しい口調で告げ、同施設の経営に関して「期待はしているが、懸念も多い」と考えを述べた。

 

国の補助金終了後、自走経営できるのか

 町田議員は「同施設は固定費が多い。来年度以降から国費の5400万円がなくなる中で自走できるのか。資本金100万円で年間固定費7500万円など、民間感覚でありえるのか。自走運営ができない場合、職員の雇用や市の負担はどうなるのか」など、企画振興部と市長に懸念を示した。さらに「施設の指定管理者は、島の民業圧迫の自主事業をしている」と指摘し、答弁を求めた。

 また、「国の補助金をあてにした施設運営をしているが、コロナ禍などもあり、国の財政も逼迫している。今後もこれまで通りの補助金があるとは考えづらい。削減対象となれば、離島などは真っ先に影響を受ける。北海道の夕張市の例があるように、国はいつまでも面倒を見てくれるわけではない」とし、市政運営の考えにまで言及した。

 企画振興部長は、「イルカパークの運営が逼迫し、なくなることはない。自走できるように常に経営状況を把握する」と答えた。町田議員は、「会社をなくすことができないなど当たり前だ。なくすことができないから心配している。これまで、市は多額の設備投資をしている。後年、このことで市の財政負担が増大するのではないかと危惧している。市が発言する答弁は漠然とした希望で話している」と厳しく批判した。

 市の財源についても、町田議員は「市は、初年度から令和3年度まで1980万円の運営費を払い続けるのか」と問い、企画振興部長は「市からは、指定管理料として、令和元年度に2494万8000円、3年度、4年度は1980万円を払うようにしている」と答えた。町田議員は「以前からイルカパークは赤字続きだったから、民間に委託したのではないか。黒字化のための計画だったはずだが、このようなことで大丈夫なのか。だから懸念があると言っている」と述べた。

 運営費に関して企画振興部長は、「固定経費として年間約7500万円かかる。経費の削減の余地はないため、入場者年間5万人以上、客単価1000円以上で収入を増やすことを考えている。自主事業で年間4000から5000万円収入を考えている。このことで自走できる計画と考えている」とした。町田議員は「では、市は自主事業の収入をあてにしての運営維持と考えているのか。それが大前提か」と批判した。

 

自主事業の経営は民業圧迫と指摘

 指定管理者のイキパークマネージメント(株)は、勝本町の聖母宮付近で民泊を経営している。10日からは郷ノ浦町で居酒屋も始めた。町田議員は「指定管理者の自主事業は認められているが、民業を圧迫しない、敷地内の運営が前提のはずだ。どこから予算や経費が出ているのか。イルカパークは公金の運営だ。施設運営を専業としてもらいたい」と意見した。

また、「通常の民間企業であれば、自主事業は何をやってもいいが、補助金を受け取る団体が民業を圧迫する事業は賛同できない。万が一、自主事業も赤字になった場合はどうするのか。市が債務補助するつもりか」と強く訴えた。

 指摘を受けて白川市長は「指定管理者の高田社長には、何度も他事業に手を広げることでイルカパークの管理が疎かになると言っている。しかし、他事業で体力を付け、その上で施設運営の自走になると理解している。期待が過剰かもしれないが、高田社長に心意気を持ってやってもらいたい。2500万円を超える一般財源の投入があってはならない。肝に命じている」と理解を求めた。

 町田議員は「指定管理者は3年間ではないのか。その結果を見て指定期間を続けるかどうかを市が提案し、議会が判断するのではないのか。なぜ、イルカパークの経営計画書に、令和4、5年度まで市の補助金の記載があるのか。このことを市は知らないとは言えないのではないか。この根拠は何か。高田社長への単なる期待の記載か」と追及を続けた。企画振興部長は「確認をする」と答弁を避けた。

 町田議員は「まずは来年度の結果だ。そこで行政責任があるかを問う。市長が言うように思いを語るのは結構だが、現実に数字がついてこないのであれば、何の意味もない」とし、質疑を終えた。【他質問は本紙に掲載】