2022.11.29本市独自の感染対策が必要だ
市は21日、防災無線で新型コロナウイルス陽性者の一週間単位による全数公表を示した。
9月以降、感染者の全数把握が見直され、高齢者や重症化リスクが高い人などの発生届のみに簡略化した陽性者数発表に変わった。このことで市内感染状況は不明となり、市民の不安が高まった。21日以降は再び状況の把握が可能となったが、感染拡大が進む今、非公表の状況で拡大防止の意識を保つことは難しかったのではないか。
県は、ホームページで県内陽性者数の総計を公表してはいるのだが、ここでも各自治体別の陽性者数の公表はなかった。見えない状況の中、本市のみならず他市でも不安の声は上がっていた。
当初、全数把握の簡略化の目的は「医療機関の負担を軽減し、高齢者など重症化リスクの高い人に重点的に医療を提供する目的」で導入が始まった。陽性の届出対象外の人や症状が軽い人などは、自ら県陽性者判断センターへ報告しなければならない。その後、同センターから外出自粛などの指示を受け、自宅で感染拡大防止と経過観察を行うことになる。まさに自己管理と自己責任に委ねる感染拡大防止策だ。
本市など小さな自治体はコミュニティが密になる反面、街の情報はあっという間に島内を駆け巡る。うわさや誤報なども当然含まれる。先月末以降、市内ではなんとなくの空気感と世間話で、コロナが蔓延しているのではないかとうわさが立ち始めた。11月に入り全国で感染第8波が言われ始め、うわさが確信に変わる空気感となった。市や県から全数把握が公表されない状況下で、市民の不安が声になり駆け巡っていたのだ。
県ホームページでは、発生状況を週単位で公表している。県内各自治体の「地域別10万人あたりの陽性者数」のデータには、興味深い数字が示されていた。
データによれば県内21市町のうち、本市の10万人あたりの陽性者数は他自治体よりも突出して多いことがわかる(1面の表を参照)。次は五島市だが、その比較でも本市が突出する。このことから、県内で最も感染拡大傾向にあるのは、本市であることがわかる。今月に入り、市民が口々に感染拡大の不安を感じていたことが数字に現れていたのだ。
不安をあおるわけではないが、本市独自の感染拡大防止策は必要だといえる。変異と感染拡大を続ける新型コロナは、高齢者などにとっては命と健康に関わるからだ。情報不足の今、市の積極的な対策と方針に期待するしかない。