2023.3.073月会議の議員判断に注目せよ

※6日付で、認定こども園事業者の北串会から「同事業からの撤退」の連絡がありました。よって、下記の内容にある予算の繰り越し案は6日以前の記事内容になります。

 

 市議会3月会議の補正予算で、郷ノ浦町柳田地区で建設計画が進む認定こども園建設に関する約1億7265万円の予算が、今年度内の予算の執行(支出手続)ができなかったとして、次年度繰り越し案が上程された。

 本来、財政法では「毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない」と規定され、会計年度の歳出予算は、原則として、年度内に組まれた予算は年度内に使用すべきものとされる「会計年度独立の原則」がある。 しかし、例外もあり、それが予算の繰り越しになる。財政法でも若干の例外を認め「一定の条件」のもとに、歳出予算の経費の金額を翌会計年度に繰り越して使用することを認めている。

 予算の次年度繰り越しは、一定の条件があれば認められるものだが「一定の条件を満たさなければ認められない」ともいえる。今回、補正予算の繰り越しに充てられた認定こども園は、この一定条件を満たしているのか。

 市内建設業者の話では、施設建設工事などの予算の繰り越しは、予算が組まれた年度内に工事着工に至らなければならないという。本来、公共工事の繰り越しは、工事着工に進んではいるが、自然災害や資材の高騰など外的要因で工事が思うように進まず、工事完了の見込みが遅れてしまったなど、止むを得ない事態が起きた場合に適用される。

 今回、繰り越し予算が上程された認定こども園建設は、2月27日の時点で工事に着手した形跡はなく、とても着工しているとは思えない。しいてあげれば、1月30日に施設関係者のみで執り行われた地鎮祭くらいか。その後、工事着工を示す看板も掲げられていなければ、建設工事の第一歩となる土地の基礎工事にも着手していない。

 昨今、市は市民に対し生活保護の不正受給者を吊し上げた。ある市内事業者は、新型コロナの助成金の不正受給を指摘された。この島は現在、国費の不正受給問題が話題になりがちだ。今回上程の予算繰り越しは大丈夫なのか。

 この件は、同園建設予定地が土砂災害の危険や、交通事故の危険があるなどで工事の見直しを提案する以前の問題だ。3月会議で予算を審議する市議会は、よく吟味して審議をせねばとんでもない事態を招く。いや、最悪の場合は不正行為にもなり得る。

 振り返れば市議会は、 同園建設を可決した昨年の6月会議で安易な採決をした。少なくとも記者はそう見ている。3月会議でもまた安易な採決をするのか、それとも法の定めに沿い、子ども達と島の将来像を見据えた判断を下すのか。正しい審議と判断を下す市議会に期待したい。今回も再び安易に終えるのであれば、進退を含めた市民の審判を仰いではどうか。