2023.7.25市民生活に支障、早期解決を

 7月10日前後に降り続いた大雨により、市内各所での甚大な被害は確認されていないが、芦辺町の中山干拓中央線(芦辺町クオリティライフセンターつばさ周辺)が、大雨の影響で冠水し、周囲の道路は一時、通行止めとなった。頻繁に起こる冠水に「大雨が降れば、同道路は通行止めになるものだ」と当たり前のように認識している。しかし、今後も大雨や豪雨は間違いなく起きる。その度、道路は冠水し、通行止めの対応を続けていいものなのか。

 同道路は、多くの市民が頻繁に通行する生活道路。通行止めとなった道路周辺は谷江川下流に位置し、田んぼや畑に囲まれている立地から冠水しやすい場所。また、周辺地よりも若干道路が下がった状態になり、満潮時と大雨が重なった場合、水が溜まりやすい形状となっていることから、早急な対策への声は以前から上がっている。

 2019年8月28日に発生した豪雨は、同道路に大規模な冠水被害をもたらした。同日未明から降り続いた大雨は、本市で400㍉を超える記録となった。大雨と満潮時が重なったため、道路周辺は、冠水により通行止めとなり、通過する車両は迂回路に回された。

 同年、市議会12月会議の一般質問で、市山繁議員は「同道路は、大雨のたびに冠水している。道路は常に通行できること、水没しないことが当たり前」とし、市に対して道路のかさ上げによる対策を要求した。

 市道を管理する当時の市建設部長は「近年の異常気象により冠水していることは把握している。現在、道路が冠水した場合には、速やかに通行止めなどの処置を行っている。今後も異常気象が続くことが予想され、市の方針として道路のかさ上げを含めた道路対策の検討に向け、令和2年度当初予算で費用を計上する」と、対策に着手する答弁をしていた。

 当時の紙面記事をさかのぼれば、市山議員の質疑以前の市建設課の回答は、「今のところは地域住民から対策の要望は来ていないが、声が挙がれば検討する必要はある」との答弁に留めていた。市民の声を受けた市山議員の質疑により、市は道路のかさ上げなどの対処を早急に行うものと思われた。しかし、現状はどうなのか。冒頭に述べた通り、現在も相変わらず同道路は大雨のたびに冠水している。

 記者の記憶と公式な記録からも、同道路の抜本的な改善工事は行われていないと思われる。市が「道路のかさ上げを含めた道路対策をする」と答弁したのは今からもう3年半も前のこと。結果的に何ら改善されていないのは周知の事実だ。

 当時、市山議員は「道路は常に通行できること、水没しないことが当たり前」と市に伝えている。何ら特別な指摘をしたわけではなく、ごく当たり前の話。あとは、その指摘を真摯に受け止め、市民生活の安全安心につながる行動をするのか、あるいは問題を先送りにするのかだけだ。もっとも、市民も気が付かないほどの対策で終え、これで良しとしていたのならば論外となるわけだが。

 これまでも、そして今回も繰り返し言うが、もはや豪雨などの自然災害はまれに起きるようなできごとの時代ではない。早期対応で被害を未然に防ぐべきだ。