2018.11.20行き過ぎた工事に市民が警鐘
小島神社周辺整備工事についての意見が市民から寄せられている。
小島神社は近年、観光PRの効果もあって多くの観光客が足を運ぶ名所となった。十数年前までは一部の観光客と地域住民、市民くらいしか訪れていなかったことを思えば、驚異的な来場者増といえる。さらに平成28年には、「日本遺産」の認定を受けている。
注目度と共に観光客や参拝者が増えるにつれ、主に地域住民の中から周辺整備を望む声が上がり、昨年9月の市議会で要望書が提出された。
要望書には「小島本島周囲は石組みが長年の波浪で流れ散乱し、足元が不安定で挫いたり岩ガキで負傷する危険がある。小島頂部の登坂用階段も石積みが不安定」と危険を指摘する。さらに「駐車場周辺は堤防道路の道幅が狭く、離合時の危険がある。農繁期の農耕車両との離合も問題となっている」とする。一方で要望を審議した産業建設常任委員会は、自然景観への影響を懸念していた。
当時の委員会意見では「自然のままだから意味がある。景観を損ねてはいけない」とあった。しかし危険箇所は考慮し、鳥居から小島神社側は原則的に景観維持の為、手を加えないようにする「意見書付き採択」で審議を終えた。危険箇所整備や駐車場周囲のみ、必要に応じた整備をするというのが結論だった。
この採択を経て小島神社周辺工事に至る。ある市民は「鳥居まで工事が進んでいくのではないか」と危惧する。現場確認では、確かに鳥居に向かうルートまで工事準備が進んでいた。小島本島まで及ぶ予定があるのか、観光商工課に聞くと「工事側の勇み足」で予定外の工事とのこと。要するに「勘違い」が招いたことのようだ。現在は予定箇所までを終え、工事を終了している。
しかし当時の要望書を見返すと、小島本島周辺を自然石で固めた人工化案がある。本島上部の神社まで遊歩道を敷くというものだった。参拝者の危険回避のための地元住民案は理解できる。しかし自然景観を守りたい市民の声もある。
最近の壱岐は様々な賛否議論が起きる。全てにおいて思うのは島の景観は全市民の共通財産と考え、ともに考え意見を出し合うことが必要なのではないだろうか。(大野英治)