2020.11.04市民の生活向上策を要望

 今年も市長や市議会議長らが県知事のもとを訪れ、要望書を手渡した。県内各自治体も同様に、要望書は自治体が進めたいと考える施策へ支援を求めるためのものとなる。

 本市の場合、昨年の10項目から新たに2項目が加わり12項目を要望した。今回の要望内容に目を通すと、主に港湾や漁港関係と航路関係が大部分を占めている。県が管理する施設などへの要望であり当然のことだが、本市が抱える喫緊の課題であることも伺い知れる。知事へ要望書を手渡す段階で、白川市長や豊坂議長、山本県議は同様に「漁港や港湾は、本市のまちづくりの要であり重要なもの」と述べ、本市経済の活性化には欠かせないものとして知事へ伝えた。

 さらに、近年多発している大型台風や、集中豪雨による気象の変化の影響もあり、漁港の安全性が脅かされてきていることから、施設整備が必要なことも要望に盛り込まれた。高齢化社会の中にある本市は、港湾でのフェリーやジェットフォイルの安全性と利便性向上は早急な課題でもあることから、特に郷ノ浦港のジェットフォイル専用浮桟橋の整備は不可欠だ。このことは、市議会の一般質問でも度々議論された。昨年度の要望から大きな進展が起きていると考えていいだろう。

 さらにジェットフォイルの老朽化による新船更新の要望や、以前から市民の間でも議論の対象となっている壱岐空港の滑走路延長も要望にある。 印通寺港と初山の初瀬地区の漁港は、近年の気象変動により早急な対応が必要とされ、新たに要望した。両漁港とも台風時のしけによる影響は、漁業関係の経済面に及ぶ。磯焼け対策への支援も漁業者の生活に直結している内容だ。さらに、クロマグロ漁獲枠の拡大などの支援要望も同様だ。漁業者が抱える苦悩は、本市経済の活性化から外すことはできない産業であり、引き続きことあるごとに関係各所への要望や支援協力を継続してもらいたい。

 ところで、昨年、一昨年の要望書提出を取材した過去の記事では、壱岐空港滑走路延長案が記事の焦点になっていた。今年の同案は、要望に盛り込まれてはいるものの、知事との意見交換には至らなかったことから、市も県も「状況を見ながら慎重に」といったところか。

 昨年までは要望書関連の記事が載るたびに一部市民から賛否の意見が届いていた。知事も毎回同様に「機種に限らず滑走路を延長する時代ではない。費用対効果の検証を徹底的に分析せねば、相当額の予算になる」と厳しい回答を述べている。

 市民が本当に必要とし、望むことを提示していくこと、それが市民生活向上の最も近道になる。(大野英治)