2020.11.04港整備の支援を知事へ要望

中村法道県知事に対して要望書を提出

郷ノ浦港、印通寺港、初山漁港の整備に前向きな回答

 

 白川博一市長と豊坂敏文市議会議長、山本啓介県議会議員は26日、長崎市の県庁で中村法道県知事に対し、壱岐空港や郷ノ浦港ジェットフォイル専用浮桟橋、印通寺港や初山漁港の整備など、12項目の要望案を記した要望書を手渡した。今回の要望は、「まちづくりを進めていく上の要点になる」と各漁港整備を強調し、今回新たな要望として印通寺港の沖防波堤の補強と消波ブロック設置や、初山漁港の防風フェンスの設置などの整備を付け加えた。中村知事は「県として協議し検討する意思はある」とし、着手に向けた考えがあることを示した。

 

 中村知事へ要望書を手渡した白川市長は、「各港や漁港についての新規項目2件と内容を追加した項目1件は重要な案件」とした。山本県議は「フェリーなどの港や漁港は、まちづくりの要点になる。同様に壱岐空港を含めた検討が必要と考える。事業のスピード化を」と述べた。

 中村知事は「港湾や漁港は島の玄関口になる。人口減少もあり時代の変化とともに役割も変わりつつあると考える。積極的に島外の人の受け入れができる機能も必要だ。一次産業や事業者の利用の観点だけではなく、幅広い機能を期待する余地がある。港の有効活用の検討を進めている」と理解を示した。また、「地域住民が、地域のまちづくりの一環としてどういう取り組みを進めていこうとしているのかが最も重要だ。積極的な港湾整備に取り組んでいかなければならない」とした。

 白川市長は「郷ノ浦港は『みなとオアシス』の認定を受けた。これからは、港を中心とした地域振興に取り組まねばならない。災害の影響を受けない港づくりのため、県の支援は必要」と意見を述べた。

 豊坂議長は「磯焼け対策も重大な問題になっている。島内漁協も対策に向けて動いている。また、離島航路ではジェットフォイルの老朽化もある。県に対しても引き続き協力をお願いしたい」とした。中村知事は「ジェットフォイルは建造費が高騰し1隻約50億円になる。航路事業者での新船更新は難しい。県としては全国の自治体に呼び掛け、新船造船の更新を国全体の問題として補助制度の創設を働きかけている。これにより造船コスト削減や国の支援措置を求めている」と答えた。

 

郷ノ浦港の浮桟橋や駐車場の整備

 昨年度から要望項目に加わった「郷ノ浦港ジェットフォイル専用浮桟橋の整備と周辺施設の再編整備」については、安全性などの現状を踏まえた内容を付け加えた。白川市長は「同港は天然の良港として発展し、昭和34年に重要港湾の指定を受けた。これまでに国や県による各種整備事業に取り組み、フェリーや高速船も就航するなど、本市の中央港として人流と物流の重要拠点となっており、本市の玄関口としてのさらなる整備が必要」と説明した。

 特に同港のジェットフォイル乗降口は、タラップ使用のために潮位差による傾斜が大きく、乗下船時には車いす利用者や高齢者などには危険が伴うことが問題とされている。また、潮位差により乗降口が変動するため、ジェットフォイル2階からの乗船時には、1階へ移動が必要となり階段での移動が困難になっている利用者もいる。

 これらのことから、要望書には「市民から、高齢者や障がい者などが安心安全に乗降できる施設整備を望む声がある。さらに、観光振興の面からも乗降客の利便性の向上が求められている」とする。

 市は、7月に関係団体に検討経過と整備計画案の説明と了承を得て、浮桟橋設置場所を決めた。これに伴い、旧フェリー岸壁背後の駐車場の見直しと、駐車場不足解消のための同港再編を検討している。

 これらのことから、同港施設整備の早期完成が図られるよう、国や関係機関への働きかけを要望した。

(中村知事の回答)利用者の乗り降りに苦労していることは聞いている。安全な乗降のために検討する。

 

印通寺港の施設整備

 今回の要望で新たに加わった「印通寺港施設整備」では、安全安心に船舶が停泊、入出港できるよう港湾整備を要望した。内容には、第一線防波堤の沖防波堤補強と反射波対策として消波ブロック設置や、マリンパル壱岐前の岸壁と泊地の大型運搬船利用のため、マイナス6㍍岸壁の水深確保の早期完成を盛り込んだ。

 同港は、壱岐-唐津間を結ぶ国道フェリーの就航や、大型運搬船の基地としても利用され、漁業も盛んに行われている。

 沖防波堤は、平成17年3月に発生した福岡西方沖地震の影響でずれが生じ、地元漁業者からは海上しけや強いうねりがあたり反射波が生じていると言われている。近年では波の影響による小型船舶事故も発生した。

 同港周囲の祝町地区にマイナス6㍍の岸壁整備をしたが、静穏度が低いため、しけの時に安全に係留できない状況がある。マリンパル壱岐前の本町地区は水深マイナス3・5㍍から4・5㍍しかなく、船舶の大型化により満載時の喫水水深の深度が増大し、船底を損傷することがあり、入港が困難になっている。

(中村知事の回答)沖防波堤では台風などの高波の影響があることから、平成23年に点検調査を行った。その後、経過観察を経ているが、調査から約10年が経つ。再び調査を行い検討していくか考える。水深整備は、地域住民の意見を聞きながら対応策を検討する。

 

初山漁港(初瀬地区)の整備

 新たな事項となる「初山漁港(初瀬地区)施設整備」は、近年の大型台風による影響などから、強風時でも漁船の係船、生け簀の利用が可能となるよう防風フェンスの設置と、漁船への安全な乗り降りと荷揚げ作業の労力軽減のための浮桟橋の早期整備を要望した。

 同漁港は南側の風を受けやすく、台風時には漁船の係船ができず、台風接近の数日前から郷ノ浦港まで避難を余儀なくされている。出荷調整用の生け簀も風の影響を受けやすく、生け簀まで漁船で行けないこともあり、活魚を出荷できない状況がある。

 また、漁船からの水産物の荷揚げ作業時で、干潮時には岸壁と高低差ができるために、漁船への乗り降りに支障が起きている。漁業者の高齢化もあり、荷揚げ作業の労力低減は急務とされている。

(中村知事の回答)安全の確保は非常に重要。市で調整を進め、1年前倒しで着手できるようになったと聞く。事業内容を精査し、令和3年度新規事業として着手できるよう検討を進めていく。