2018.8.07古い考えを改める時代にいる 〜教室のエアコン設置〜

 前号の学校教室にエアコン設置の記事は小・中学生の子どもがいる保護者や一部市民から意見が届いた。一つは3面に掲載したが、どの意見も「現在の夏の暑さは異常」「人体的にも限界を超える日が多い。もはや精神論で片付けていいのか」「全国では死亡例もある」などエアコン設置に肯定的。日頃、エアコンが効いた部屋で過ごす機会の多い大人は猛暑から身を守れる。子どもの中には体力差や暑さに弱い体質などもあり、若さや元気の二文字で乗り越えられる話ではない。真剣に考えねば来年や再来年、この先も保護者らの不安は募る一方だ。
 全国の小中学校の普通教室では約50㌫設置され、長崎県は全国でも設置率が極端に低い8・6㌫であることを示した。県の理由では「設置費用にかかる予算が約8億円で、財政負担が大きい」ことを理由にする。しかし財政負担と子ども達の健康と生命とではどちらが重いのか。
 これほど熱中症が関心を集めた年は過去にない。各地では観測史上初の気温や過去に例を見ない台風の進路、近年当たり前のように発生する豪雨被害など、もう10年や20年前のような気象常識は通じない。
 子どもと接する教育行政と現場は、古い考えをアップデート(更新)せねばならず、柔軟な考えと対応こそが被害を防ぐことに繋がる。先見の明と想像力を持たねばならない。全国の学校で起きている子ども達の熱中症は、学校側の対応や設備、指導で回避できたものは多かったのではないか。
 先日、公立の小中学校に中古エアコンを無償提供する会社があることを知った。愛知県に本社を持つ全国展開のエアコン買取王で知られる会社だ。むろん一企業が無料で提供するエアコンであり、台数には限りがある。現在は150台の提供から始めているが、今後も複数年かけて導入計画を進めているという。
 民間企業も猛暑による子ども達の熱中症被害を憂えている。現場に近い関係者らは、県が財政負担ということで思考停止するのではなく、あらん限りの知恵を絞り可能とする道を模索すべきではないだろうか。努力こそが道を切り開く。(大野英治)