2018.8.07町を駆ける男衆の熱気「祇園山笠」

 今年で281年の伝統を誇る本市最大の夏祭り、郷ノ浦祇園山笠(壱岐郷ノ浦祇園山笠振興会主催)が28、29日の両日開催。今年は台風12号の接近に伴い、直前まで本祭りができるか危ぶまれた。本祭りは午前中の八坂神社参拝と郷ノ浦郵便局前海岸通りでの舁山、午後1時から佐賀里の石段登りと諸官庁打ち込みまで行われ、その後は降りしきる雨と強風のために中止となった。

 毎年、7月第4土曜と日曜に開催される夏の壱岐を象徴する最大の祭り「郷ノ浦祇園山笠」。折しも台風12号の接近により、本祭りは通常の巡行の変更を余儀なくされたが、歴史と伝統の祭りと奉納は滞りなく遂行した。今年の一番山は新道流。そして本町流、下山流、塞(さい)流の4流に続き盈小や郷中の生徒らによる神輿が町を練り歩いた。唄子たちが太鼓を打ち鳴らしながら「オッセー、オッセー、ヨーカイタ、ヨーカイタ」と勢いをつける中、山笠が郷ノ浦の街中を巡行し、担ぐ男たちの熱気が町を駆け抜けた。
 28日は、午後3時より高校橋から旧親和銀行までの区間が交通規制された。午後4時から本町大通りで神事による開会式と飾り山集団山見せ、唄子太鼓と鬼太鼓共演が披露され、祭りの始まりを告げた。夕方6時の宵の祭りでは、各流れの山笠をライトアップして披露。通りには今年の山笠の装飾に見入る多くの見物客で溢れた。本町通りとふれあい通り、昭和橋横の駐車場、旧公立病院駐車場ではダンスや太鼓など趣向を凝らしたステージが行われた。また軽食などの露店が各流れごとに立ち並んだ。
 本町大通り特設ステージでは、郷中ブラスバンド部の演奏、歌謡ショーや山笠スケッチ大会の表彰などが行われ賑わった。
 本祭りの29日は朝9時から塞神社前で神事を行い、新道流、本町流、下山流、塞流の4つの山笠が順番に塞神社の前を出発。山笠巡行は亀川稲荷神社、金比羅神社と回り、午前中に八坂神社までの奉納を行った。その後、昭和橋付近で舁山を披露、午前中の巡行を終えた。
 午後1時からは100㍍近くある佐賀里の石段69段の難所を、山笠を担いで上がる最大の見せ場。この見どころにカメラ片手の観客が通りに溢れた。高さ約5㍍、重さ約1㌧の山笠を約50人が担ぎ、「ヨーカイタ」の力強い掛け声で観客の声援の中を駆け登った。
 石段を登り切った後、各流が市役所、合同庁舎、振興局、警察署への打ち込みを行い、国津意加美神社へ参拝。その後の巡行は天候の都合により中止となり、山笠のクライマックスとなる新道バス停前と本町大通りの舁山は来年に持ち越された。