2022.6.21郷ノ浦町柳田の「認定こども園」開設計画に複数の議員が意見

 市議会6月会議の13日、市が上程した補正予算にある、民間事業者による認定こども園の開設についての質疑が重ねられた。補正予算には、総事業費2億5848万円を国と県、市がそれぞれ負担するもので、市は4分の1負担の5755万2千円を事業費として負担。郷ノ浦町柳田地区の旧辻川石油跡地に建設が進められる。しかし、建設予定地周辺は、土砂災害警戒区域に指定されていることが判明した。意見した議員らから「市は土砂災害の危険区域との把握はしていたのか。5月30日に開いた全員協議会でなぜ説明しなかったのか」などの議論が沸き起こった。市担当部長は「把握はしている。県や事業者に対して市は意見を言えない」と答えるに留めた。

 

 来年4月開設予定の認定こども園建設予定地は建物後方に急斜面があり、市が公表している土砂災害ハザードマップでは、隣接する周囲が土砂災害警戒区域と特別警戒区域に指定されている。子どもの安全と土砂災害などの危険をはらんでいる可能性が高いことから、複数の議員は市に対して質問を投げかけた。

 建設計画は、先月30日の市議会全員協議会(全協)で急きょ、市から報告が上がった。市も突然、県から許認可などの話を聞き、白川博一市長も「寝耳に水」と全協で述べている。同園の計画は、1月に県から市へ郷ノ浦町認定こども園の建設予定地が決まったと連絡があり、2月1日、市は県へ同園施設整備交付金協議書を提出していた。

 協議書の内容にある危険地区指定の有無の記載に市は「有」としている。このことから、市は事前に計画予定地が土砂災害の危険地区に隣接することを把握していたことになる。

 武原由里子議員は「市は事前に知っていながら、全協で説明しなかった。なぜか」と問うた。市民部長は「こども園を運営する民間事業者は、建設予定地選定の段階で、地域一帯は土砂災害警戒区域の指定があることを把握した上で決定している。許認可を有する県が判断したので、市から説明はしなかった」と理由を述べた。

 さらに市民部長は「土砂災害警戒区域の把握はしているが、建設への縛りはない。建設にあたっての許認可は県になる」と説明した。武原議員は「では、市は危険地区と認識していたが、建設はできる、許認可は県がするから市はそれを判断しない。よって全協で議員への説明はしなかったとの認識でいいか」と問い、うなずいて市民部長は認めた。

 2月1日に市が県へ提出した協議書内容をもとに、山口欽秀議員は「協議書の記載には、市は今回の施設整備を希望するという旨が記載してある。市は何も言わないとするが、建設を希望したいと言っている」とし「本市と市民が希望する民間こども園を作るという立場が必要ではないかと思うが」と意見した。

 市民部長は「許認可権を県が有している。県から協議書の提出を求められ、本市の状況とこれまでの答申に基づく方針を伝えた。これらの状況を踏まえ、県が判断するもの」として、市は意見を言う立場ではないことを繰り返し答えた。

 市民部長は「同園事業に関する保護者の説明会は、10月下旬から11月上旬に予定している。入所手続き開始は11月中旬から。現市内保育園の運営者へ説明する予定もある」とした。