2022.6.21過去の教訓は生かされるのか

 郷ノ浦町柳田地区で建設計画が進む、民間事業による認定こども園の建設計画は、やはり市議会6月会議の審議でも取り上げられた。当然だ。予定地が隣接する場所は、土砂災害特別警戒区域なのだから。

 前号でも書いたが、2016年の芦辺中学校の新校舎建設では、当初の建設予定地で計画が進みつつあった芦辺ふれあい広場が、土砂災害特別警戒区域内にあることが発覚。事実を知った多くの市民は、同地での建設を反対。予定地変更を余儀なくされた市は、旧那賀中に変更した。今回、問題とされる子ども園予定地も同じく危険地域にある。

 議会の議案審議では、6年前の芦辺中新校舎建設を一例に挙げ、「当時の教訓は生かされているのか」と問うた。

 武原由里子議員は「土砂災害の危険があっても建設は可能と市は芦辺中建設でも言った。今回も警戒区域が隣接、建物の真後ろが危険である状況も同じ。大事な子ども達を危険な場所に通わせなければならないのは心が痛む」とし、「建設は可能でも、子どもの安全性と保育環境に最適なのか、大人の私達が考えるべき。芦辺中校舎建設のことをもう1度、思い出してもらいたい」と訴えた。

 山口欽秀議員は「芦辺中校舎建設の教訓が一切ないように見受けられる。民間だから何も言えないというが、公的資金は市が交付する。子どもの生命安全を守っていくチェックをしないといけない」とした。

 音嶋正吾議員は「我が子を安心安全の施設である保育園に通わせたいのが親心。近年は自然災害も頻発している。市は今議会でじっくりと考えてもらいたい。芦辺中建設の件を忘れたのか」と意見した。

 市の担当課は「今回の建設予定の隣接地は、土砂災害被害地域のレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)ではなく、イエローゾン(土砂災害警戒区域)になる。建設予定地は土砂災害の対策として、土留コンクリートや排水溝の整備をする」として理解を求めた。しかし、この答弁も芦辺中建設で、当時も聞いたように思えるが。

 そもそも、市は「県が許認可したこと。何も口出しはできない」と言うが本当か。2月1日に市が県に提出した同園施設整備交付金交付書には、建設予定地の住所が記載され、「今回の施設整備を希望する」とまで書き添えている。5月30日の全協で市は「寝耳に水だった」と発言したが、疑わしいではないか。結局、大人の都合を優先した結果ではないのか。