2018.10.04県内離島の地価下落が続く
県は18日、7月1日時点の県内の基準地価を発表した。調査は県内457地点を対象とし、全用途の平均が前年比マイナス1・0㌫で21年連続の下落、しかし下げ幅は前年より0・3ポイントの縮小となった。県内全市町での下げ幅は縮小傾向にあるものの、離島や斜面地など323地点でマイナスとなり、特に離島地域の下落に歯止めがかからない状況がわかった。本市も昨年に続き地価マイナスに陥っている。
県内地価の上昇率上位は、住宅地では長崎市上西山町の30年連続の上昇で8・6㌫プラスと最大。商業地では、新幹線開業などで再開発が進むJR長崎駅周辺や利便性の高い市街地周辺の住宅地などで軒並みプラス傾向となった。一方、下落率での上位は、住宅地と商業地ともに五島市や宇久島(佐世保市)、小値賀町などの離島が占めた。本市も商業地の下落率上位10地点のなかに3地点が入っており、7位に郷ノ浦町郷ノ浦字築町45-2(前年比から4・5㌫のマイナス)、8位に芦辺町芦辺浦字東329(前年比から4・5㌫のマイナス)、10位に石田町印通寺浦字目坂204-1(前年比から4・0㌫のマイナス)となっている。離島地域を中心に大きな下落が目立っている。
本市を市町村別で見た場合、住宅地では2・4㌫のマイナス(前年は3・0㌫のマイナス)。商業地では4・2㌫のマイナス(前年は4・8㌫のマイナス)で、下落傾向が続いている。対馬市の場合は住宅地では1・5㌫のマイナス(前年は2・2㌫のマイナス)で、商業地では1・4㌫のマイナス(前年は2・5㌫のマイナス)。韓国人観光客の増加が追い風となり、本市と比べて下げ幅が低い。しかし県内離島全体の傾向では、下落に歯止めがかからない実情が垣間見える結果となっている。
全国での今年の基準地価は、全用途の平均がバブル期以来、ほぼ四半世紀ぶりの上昇に転じている。政府の政策による景気回復策が功を奏し、都市部を中心とした政策の恩恵が形を示したものといえる。
しかし全国の調査で見れば、離島のほか豪雨や地震の被害を受けやすい斜面地は低迷の一途。同一の地域内でも、中心部と周辺部の格差が広がる二極化構造が顕著になっている。全国レベルでは都心部と地方との格差は更に広がりをみせる。
専門家は「都市部は企業オフィス拡大や外国人観光客の動向など、人の流れがあり、今後も上昇基調になる。しかし、人口減少に喘ぐ地方は過疎化が進み、人が増えないことには地価の上昇も難しい」とする。また「安倍政権の景気回復策は都市部を中心に効果を見せるが、一方で政府がもう一つの看板に掲げる『地方創生』の効果は思うほどの成果がないのでは」とも言う。離島などの地方は、人口減少に対して抜本的な解決を見出さねば、地価下落は今後も続くと予想される。