2022.4.06市長の不信任決議案、否決
市議会3月会議の先月23日、音嶋正吾議員は白川博一市長に対する「不信任決議案」を提出した。提出賛成者には山口欽秀議員と武原由里子議員が名を連ねた。不信任の理由は、1月18日に長崎地方裁判所で裁判長が下した民事訴訟判決後の懲戒処分が不適当であり、首長としての信用が失墜している旨を述べた。音嶋議員は「違法行為を行った責任を重く受け止め、自ら厳しく処する決断をすべき」とし辞職を求めた。賛成討論では山口議員が「一般公務員では重い処分のはずが、減給のみの軽い処分で終えている」と意見。議会は賛成5人反対10人で否決された。
市議会3月会議の最終日、音嶋議員は豊坂敏文議長へ「白川市長に対する不信任案」を提出し、採決を議会に委ねた。賛成討論では山口議員が意見を述べたのみで、反対討論で発言する議員はいなかった。
不信任に賛成した議員は音嶋、山口、武原、森俊介、中田恭一議員の5人。反対は小金丸益明、鵜瀬和博、山川忠久、中原正博、樋口伊久磨、赤木貴尚、土谷勇二、清水修、植村圭司、市山繁議員の10人。議会は賛成5反対10で否決とした。
発議した音嶋議員は「入札指名外しの民事訴訟では、市長による恣意的かつ裁量権の逸脱・濫用があったとし、違法行為だと判決が下った。市長は、国家賠償法による賠償金の支払いによってその責任をすべて果たし、自ら減給案を示したと言うが、責任の取り方が軽い」とした。
さらに、民事訴訟判決とは別に「特定の業者や個人の利益供与とみられる事業の推進・計画となっている。市民の声を聞いて市政運営をする姿勢に欠けている」など、白川市政に対しても批判した。
2016年4月の市長選挙で、対立候補を支援した株式会社壱岐産業の眞弓倉夫元代表に対し、白川市長は「信頼を失った」ことを理由に指名回避したことで、民事訴訟に発展した。裁判長は白川市長の行為を「恣意的、裁量権の逸脱・濫用があった」とし、市に対しては「国家賠償法上の違法」と判決を命じた。
「重い責任に比べ、処分が軽い」
音嶋議員は、不信任決議案を提出した理由として「白川市長は裁判の結果を受けて4つの責任を果たすと言うが、自ら違法行為がどこにあったのかをはっきり語らない。反省する、真摯に受け止めるなどあいまいな言葉ばかりで、違法行為を認めて反省する立場を表明しない。市民から選ばれた市長がする公明・正大な態度ではない」と批判した。
賛成討論に立った山口議員は「市長がした指名回避に、裁判長は『恣意的』『裁量権の逸脱・濫用である』と、白川市長の主張は認められず、違法行為だと判決が下った。市長は一般公務員の上に立つ立場であり、自らに厳しく処する立場にある。しかし、一般公務員の懲戒では免職、停職、そして3番目に軽い減給だった。10㌫減給は責任を軽くみる行為だ」と白川市長自ら示した処分を非難した。また「市政運営への市民の信頼を大きく失い、市民の中で確執と分断を広げ続けてきた責任は重い」として、「自らを厳しく処する決断がない以上、不信任と言わざるを得ない」と討論し、不信任決議に賛成の意を示した。
市議会3月会議を終えるにあたり、白川市長は「私の給与減額案を可決いただいた。議案質疑や一般質問では厳しい意見があった。このことを理解しながら残りの任期を全うしていく」と決意を新たにした。自身への不信任決議案については「決議案は議場で見たばかりであり、内容については答えようがない。議会で不信任が出たということを重く受け止めている」と答えた。
過去にも指名回避があった
発議では「これまで14年間の白川市政を見ると、市長選挙後の指名回避は今回が初めてでなく、2回目だ」という。
当紙の取材に音嶋議員は「白川市政2期目の選挙でも、入札指名外しがあった」と話し、「今回の事案に限らず、選挙による指名回避は慣例になっていたのではないか」と考えを述べた。