2022.2.08市への賠償金請求判決、控訴せず

2日が控訴期限、判決に市長は「残念な結果」とコメント

 

 2016(平成28)年4月の市長選に端を発する入札指名回避の民事裁判の判決が先月18日、長崎地方裁判所で下り、市に対し「299万4956円の損害賠償支払い」の判決が言い渡された。裁判長は「市長が恣意的(主観的で自分勝手なさま)に行ったことと解さざるを得ないこと、裁量権、すなわち行政を進める中で、市長に許される判断の余地、許容範囲の逸脱、濫用があった」とした。原告被告ともに控訴期限は2日まで。市が控訴の場合は議会での議決が必要となるが、1日の時点で議会召集などの動きは見えず、控訴しない可能性が高い(今号当紙締め切り後の3日、市は控訴しないと発表、詳細は次号)。

 

 先月18日の判決後、白川博一市長は「市と私の主張が認められず残念な結果」と、市議会や市ケーブルテレビ、広報いきなどで市民に向け思いを伝えた。

 広報いき2月号の市長コラムでは、「損害賠償請求(民事訴訟)の判決について」と題し、「裁判の過程において、本件指名回避が適法なものであることを訴えてきたところでありますが、市及び私の主張が認められず、大変残念な結果となりました。今後につきましては、市議会、弁護士等と協議しながら、対応を検討して参ります。

 このたび、市政に混乱を招き、市民皆様に対し、ご心配、ご不安をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。

 今後、市民皆様のため、壱岐市の振興・発展のため、これまで以上に市政運営に真摯に取り組んで参ります」と述べている。

 法的に、控訴期限は判決文の正本が原告被告のもとへ送達された翌日から2週間が期限とされる。今回の場合、先月18日に判決が言い渡され、同日に送達されたことから、控訴期限は2週間後の2日となった。

 当紙の取材に対し、原告側の(株)壱岐産業元代表の眞弓倉夫氏は、「市と市長には、この判決を真摯に受け止めてもらいたいと考えている。私の方から控訴するつもりはない」と話している。

 一方、被告側の市は、白川市長が「顧問弁護士などと協議をしながら対応を検討している」と話していることから、控訴に踏み切る考えはありそうだ。しかし、控訴の場合は新たな証拠や事実の発覚などが必要となる。現時点で新事実などの情報は見えないが、市の動向によって控訴の判断が決まる。

 市が控訴に踏み切る場合、市は先月24日の市議会1月会議で「控訴する場合は議会の議決が必要であり、改めて議案を提出する」と答えている。ある議員は「仮に市が控訴するにしても、事前に議会召集をしてくれなければ身動きが取れない。1日に議案と召集があって翌2日の開会が精一杯。控訴期限が2日だからといって、2日早朝に召集があっても全議員が集まれるかどうか疑問」として、早急な判断を求めている。

 市総務課は1日、取材に対し「午後4時半の段階で顧問弁護士との協議は終わっていない。控訴は議会召集もあり、夜までには判断する。原告側の考えもあり、何とも言えない」と答えた。