2020.3.31前年比で宿泊50㌫以上減も、新型コロナウイルス感染者発生で島内経済に影響
14日に本市で発生した新型コロナウイルス感染は、観光業をはじめとした各産業に多大な影響を及ぼしている。市内経済団体や市商工会などは緊急の対策会議を開くなどして対応に追われているが、観光客の動向が前年同月比マイナス50㌫以上の激減を受け、未曾有の事態に不安は隠せないようだ。
14日に市内で新型コロナウイルス感染者が確認されたことを受け、市は15日、市緊急経済対策会議を開いた。白川博一市長や壱岐振興局の黒﨑勇局長をはじめ、市議会議員や市商工会、各組合代表ら経済団体の代表など40人が出席して意見を交わした。
先月末から全国で広がる感染の防止対策や、イベント自粛などによる影響が起きる中、本市での感染者発生は島内経済にも大きなダメージとなっている。同会議では経済団体は市へ支援の要請などを求め、壱岐保健所は感染拡大防止の協力を依頼した。今後も動向を見ながら緊急会議を開く予定だ。
また、市商工会は17日付で「新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援措置の意見・要望」を求めるアンケートを市内591事業者に配布し、165件回答があった。国や県が今後、中小企業に向けた支援策を検討していることから、本市でも意見を基にした支援策を検討するためだ。また、今後開催する緊急経済対策会議で対策案としても利用する。
回答票には、「事業にどれくらいの影響が起きたか」「経営面で対策を講じているか」などの設問がある。回答には「5月連休に影響が残れば廃業に」「この先の展望が見えない」「風評被害が怖い」「貸付制度で、終息のメドが立たなければ返済が心配」など不安を訴える声が多い。中には「なぜ今回の報道は県ではなく市町村名、名指しで壱岐市の名前を出したのか。一部ではコロナ島と言わる」「本市在住者から発生とあるが、報道の仕方がおかしいのでは」と厳しい声もある。
市商工会は「宿泊や観光関係が受けた打撃は大きい。キャンセルの影響などで前年比50㌫以上の落ち込みがあり、最大では90㌫の予測もあるようだ。2月までは予約もあったが、12日の感染者発生以降は明らかに予約減となった。回答には、人件費や借り入れ返済などで困っている声が多い」と影響の大きさを語った。
航路を利用する市民は「14日以降は、ひと目でわかるほど乗船客が減少している。特にツアー客はほとんど見ない」と現状の印象を述べた。
九州郵船は24日の航路対策協議会で「輸送、運賃実績など半減し、予約キャンセルも多い。物流への波及も考えられる」と報告した(本紙に別表記載)。
また、輸送や運賃収入半減などの影響から、4月1日から30日までの間、博多発午後13時45分~芦辺着15時55分、芦辺発16時15分~博多着18時25分を運休とした。
また、白川博一市長は九郵に対して、「各港へのサーモグラフィーによる体温検査を実施」の早期設置を要望するなど対策に乗り出している。