2020.3.23全国離島でも初の感染、今後2週間ほどが感染防止の山場か
14日の午前、県内では初、沖縄県を除く全国離島でも初となる新型コロナウイルスの感染者が市内で確認された。感染者は自営業の30代男性で、12日に京都府から本市に転入してきた。海外渡航歴はない。昨年、市で開催されたイベントに参加したことが、今回の転入につながった。また、市内で男性と同行していた濃厚接触者の2人は、その後の検査で陰性であることがわかった。しかし、男性との接触後48時間以内の検査のため、今後の経過観察を含めた対応が必要だ。
県と市の発表によれば、感染した男性は12日に京都府から本市に転入。先月21日に神戸市のイベントスペースと、4日に大阪市で会った大阪府の知人が感染していたことを知り、同日の午後8時半に壱岐保健所に連絡を入れ、13日に医療機関を受診。大村市にある県環境保健研究センターでPCR検査を行った結果、14日午前6時ごろに陽性が確認された。その後、壱岐病院に入院。当初症状はなかったが、15日に37・8度の発熱が認められた。全身状態は良好だという。
男性は12日、博多駅で合流した福岡市在住の50代男性と博多港午前10時半発の厳原行きジェットフォイルで芦辺港に到着。2人はレンタカーで島内を移動した。バスなどの公共交通機関は利用していない。現在確認されている行動歴は、市役所郷ノ浦庁舎1階市民部窓口で転入届を提出、郷ノ浦町の飲食店で昼食を取った後、買い物をしている。夕方には本市の30代女性と合流し、3人で海岸などの観光地をドライブで回り、芦辺町の飲食店で夕食を取った。市内ではマスクをしていなかった。
夕食の最中に、大阪府の知人が感染していたことを会員制交流サイト(SNS)で知り、宿泊施設の予約をキャンセルし、12日夜は男性はテント泊、同行者2人はそれぞれレンタカー、自家用車の車中泊で過ごした。翌13日夜に男性は、市が用意したコテージを利用し、14日からは同行者2人もコテージで別々に滞在。感染拡大防止のため、他との接触を防ぐ行動をとった。また、男性は12日に転入手続きを終えた後は大阪方面に戻る予定だったようだ。
男性と行動を共にした2人は、14日にPCR検査をした結果、15日午前中に陰性が確認されたが、男性との接触から48時間以内の検査であるために不安は残される。現在は陰性であっても今後、陽性反応が出る可能性も否定できないため、2週間ほどは予断を許さない状況。16日現在、市は経過観察している。
市内各所で感染拡大防止の対策
県からの報告を受け九州郵船では、男性が乗船したジェットフォイル「ヴィーナス1」2階席前方中央部の26Jと27Jの座席や、船内各所を福岡市の箱崎船舶整備場で噴霧器による消毒を行った。同社発表で当日の乗客は約120人、63人が芦辺港で下船し、新たに2人が乗船している。
ジェットフォイルの乗客は、男性が座った周囲2㍍の範囲を濃厚接触者とし、4人が対象となった。このうち3人は14日、1人は15日に連絡している。2人は40代と50代の男性県職員で、現在は自宅待機中という。他2人は福岡県の40代男性、埼玉県の30代男性。
濃厚接触者は14日の健康観察と共に、不要不急の外出を控えることや移動する際に公共交通機関の利用をなるべく避けるよう要請している。また、PCR検査も予定されている。
一支国博物館と壱岐イルカパーク&リゾート、原の辻ガイダンスは、感染拡大防止のため14日から16日まで、壱岐テレワークセンターは14日から22日までを臨時休館とした(16日現在)。
市教育委員会は、小中学校を16日から22日まで臨時休校とし、24日を修了式とした。卒業式は中学校が17日、小学校が19日を臨時登校日として行うことにした。
市役所は感染者の窓口利用が確認されたことから、16日以降は市役所郷ノ浦庁舎1階市民部窓口を閉鎖し、窓口業務は地下会議室で対応することを決めた。また、窓口対応をした職員は自宅待機とした。