2020.3.17すべて税金であることを認識せよ

 市内の各施設で導入されている指定管理者制度の運営に、不利益が起きているように思えてならない。市も運営側も、どこかに「税金だから」との甘い考えがあるのではないか。民間ならば、もっと責任感と緊張感の中で運営に臨むのが普通である。事業における損害は経営に影響を及ぼし、倒産などの廃業につながるからだ。

 市は、市議会3月会議での当初予算で、市ケーブルテレビ指定管理業務移行に伴う予算に、1億5615万3000円を計上している。また、同議会の一般質問で、音嶋正吾議員は「市ケーブルテレビ指定管理者移行の選定と一連の移行手続きを問う。移行に際して1億5000万円もの税金投入があった。もったいないことだ」と意見した。白川博一市長も「契約書と法律の相違の違い。早期解決のため合意を交わした」と答え、解決のための費用との認識を認めている。本市が行う指定管理者制度の危うさを感じる事案である。まさに「もったいない」予算だ。

 また、イルカパーク管理費として2911万5000円の予算が上程されている。概要として提示しているイルカパーク指定管理費は理解できるとして、イルカ2頭の購入費用がこの予算に含まれている。

 イルカパークは、昨年4月末のリニューアルオープン後、わずか10か月ほどの間に、5頭飼育していたイルカのうち3頭が死ぬ事態が起きている。市民からは「同じ事態が繰り返されるのではないか。死因を究明するべき」との声が上がり、本紙も同意見を記した。この異常事態の中で、新たに2頭を購入する予算を計上するとは、正気とは思えない。生き物の命を預かる意味をわかっているのか。徹底的に原因を究明し、死因が明確になった後に、イルカを購入するかしないのかを検討すべきだ。

 市が予算を上程した議案資料には、イルカパーク事業の内容や目的に「民間ノウハウを活用した収益化で財政負担の低減を図り、魅力的な観光施設として持続可能な経営を行う」とある。イルカの連続死が起きている中で、どこが「持続可能」なのか。全く理解ができない。また、「施設を適性に管理し」ともある。適正な管理とは、イルカの死の究明ができてはじめて言えることではないのか。

 さらに、イルカパークの「調餌場改修、研修用足場などの整備、イルカ飼育管理強化、研修プログラム、集客イベント企画」などの事業に、7986万円(国50㌫、市50㌫)の予算がある。市の説明には「イルカパークの再生による観光集客拠点化を目指す。様々な事業者との連携で、地域経済活性化を目指す」とある。先に挙げた管理費と事業費を合わせれば、実に1億円オーバーの予算がイルカパークに投入される。

 本来ならば、民間事業者の能力による経費削減と収益増が目的のはずの指定管理者制度だが、傍から見ると「壱岐市は財布の紐が緩い金主」に思えてならないのだが。本市の財政は厳しい状況にある。大盤振る舞いは自らの首を締めていく一方なのではないか。(大野英治)