2022.1.06イルカパーク指定管理、賛成多数で指名可決
指定管理者代表の税金滞納事実発覚を受けての強行採決
市議会12月会議で市が上程した議案「イルカパーク指定管理者の指定」は、イキパークマネジメント株式会社(高田佳岳代表)が前期に引き続き、令和4年度から3年間の指定管理者に決まった。採決は賛成多数で決まり、反対は森俊介議員、音嶋正吾議員、武原由里子議員、山口欽秀議員の4人。他議員は同社指名に賛成の意を示し、議案に対し武原議員と森議員が同社指定に反対の意を示す討論を述べた。また、同社代表の税金滞納事実も発覚した。
市は、同社を指定管理者とする判断に影響をきたす重要な事実を全議員と共有するため、議会開会中に異例とも思える約40分間の休憩を挟み、その時間で議員全員協議会(全協)を開いた。
議員の話によると「市長と企画振興部長から、同社の指定管理を採決するにあたり、同社代表の高田氏に関して重要な失態が起きたことが分かった。この事実を話さないままの採決に無理があるとして、急きょ全協を開かねばならない事態になった」と説明を受けたという。
事態は深刻だった。高田代表は昨年12月23日、芦辺町箱崎中山触字椿山404番地に建物を所有、民営化に向け11月1日に同地に本社移転の登記をしている。建物と土地所有者は高田代表であり、会社所有ではない。10月12日付けで同建物と土地が税金滞納で差押えとなっていた。債権者は壱岐市だった。
同社は2018(平成30)年11月9日に会社を設立、同年からイルカパーク指定管理者の指定を受け、イルカパーク施設内に本社を置いた。しかし、来年度から運営を担う指定管理者公募で、「公平な公募のため」との理由により、市は同社資本100万円のうち25㌫の保有株を同社に売却、完全民営化となっていた。
本会議を中断し、執行部は全協で議員に説明
議員によると、この事実について全協で執行部から説明があったという。企画振興部長は「差押えとなったのは高田代表であり、同社への差押えではない。登記上は同じ敷地であっても、個人と法人は別人格。同社選定で法的問題はない」として、指定管理者指定の影響はないとした。さらに「市が差押えを知ったのは今月21日。同日付けで高田代表は滞納分を完納している」と付け加えた。
しかし、議員は「債権者は市だ。なぜ把握できなかったのか。法的問題はないというが、これは社会的通念の問題だ。これで市民の信頼は得られるのか」と反論した。白川博一市長は「法的に問題はないとなるが、世間一般で釈然としないのは事実。高田代表への信頼は下がった」と述べた。また、「税金未納が代表を務める会社を指定管理にしていいのか」との問いについて、企画振興部長は「代表は株主総会で決めるもの」とした。しかし、未納時に市は株主だったことから、矛盾が残る答弁となった。議員は「執行部の理由は分かる。しかし、民意として納得は得られない」と述べた。
さらに議員は「市として再選定すべき。再審議か議案取り消しはできないのか」と提言したが、白川市長は「すでに議案として提出している。議員の採決に任せる」とした。別の議員は「このまま不採択ならイルカパークの存続、イルカの生命に関わる。採決当日に突然このような事実を知り、この場で議論を重ねても時間も足りず解決しない」と困惑した表情をみせ、苦しい判断を迫られた。
市は、滞納期間や該当の未納分などは個人情報の扱いとなるため、「把握していない」と答えた。しかし、市が同社株主だった期間での税金滞納や、同社代表者任命、指定管理指名など、今後も市の責任が問われそうだ。