2021.12.21市の管理と把握に疑問あり

 市議会議案審議の一部発言が撤回された。13日の審議で音嶋正吾議員は、令和4年度から引き続きイルカパークの指定管理者に指名されたイキパークマネジメント株式会社(高田佳岳代表)による郷ノ浦町の不動産取得について「同社は8月31日に不動産を購入した。さらに購入したわずか約2週間後の9月14日、株式会社クリーンライフ(本社・大阪市都島区)へ売却。その後の登記は同月24日だ。この建物では4500万円のテレワーク事業を島内にある別の会社が行っている」と発言した。この模様は市ケーブルテレビでも放送され、視聴した市民も知ることになった。

 音嶋議員は「市は25㌫出資している同社の不動産取得を把握していない」という。音嶋議員の手元には、法務局で入手した登記事項証明書があった。さらに「この事実を知って、市が指定管理者へ選定することに疑問がある」と憤った。要するに議案審議の場で、議員は「不動産転がし」のような行為ではないかと指摘したのだ。

 しかし、14日の議場で企画振興部長は「不動産所得は自主事業分であり、市として把握する必要はない」と前置きし、同社の高田代表の代弁として「所有者から売買の話があり、自主事業分で購入の調整を進めていたが、コロナ禍が長期化し資金調達が難しくなった。そこで代わりの不動産購入者を探したところ、株式会社クリーンライフの代表が購入するに至った。しかし、所有者との購入売買契約があり、いったん我が社で取得契約を行い、その後に売買となった。売買による利益はない」と説明した。

 前日、同社に「これは不動産転がしだ」と発言した音嶋議員に対し、代弁した企画振興部長は「あたかも違法があったような発言だった。法的に全く問題はない」と反論した。

 これを受けて音嶋議員は、「昨夜、株式会社クリーンライフの代表と話をし、適切ではない発言だと分かった。同社代表は郷ノ浦町再生への熱意もあった」とし、「不動産転がしの発言は撤回したい」と議長に申し入れた。

 ちなみにイキパークマネジメントの市保有株25㌫の売却は9月29日。記者が問題と考える点はここにある。市がまだ株主だった時に不動産売買が行われていたのだ。売買の事実を企画振興部長は「存じ上げない」と答弁した。さらに「自主事業は把握しない」とまで言い切った。議場で疑義が起きるまでの状況を、まったく知らないとは何事だ。無関心にもほどがある。

 振り返れば約2年前、市ケーブルテレビ指定管理者の選定と業務移行の時にも、市と当時の指定管理者であった関西ブロードバンドの間で、協定書の解釈違いによる混乱が起きた。結果的に、市は約1億5000万円もの有償譲渡費を支払うことになった事実を忘れたのか。

 追及した音嶋議員は一部発言を撤回しその場を収めたが、市の無関心と無責任発言だけはどうにも許し難い。民間ではまずあり得ない事態だ。