2020.9.08Iki-Biz閉所、3年間の運営に終止符

 地方創生推進の一環で、本市事業者の支援拠点として運営してきた「壱岐しごとサポートセンターIki―Biz(イキビズ)」が8月末で閉所となった。開所から3年の今年、当初から予定されていた開設期間の満期を迎えたためだ。同センターは閉所に伴う実績報告会を先月28日、芦辺町の原の辻ガイダンス横のフリーウィルスタジオで開催し、終止符を打った。

 

 同センターは、先に静岡県富士市で開所したf―Biz(エフビズ)をモデルに、起業や中小企業や個人事業主を支援する無料相談所として2017(平成29)年8月22日、郷ノ浦町に開所。市が運営し、東京、千葉、京都の島外出身者スタッフ3人で開始した。事業の強みや可能性を見つけて伸ばす実践的なアドバイスで経営改善や販路拡大、事業拡大などにつなげ、地域経済の活性化に貢献。また、昨年3月には事業家の堀江貴文(ホリエモン)氏を招いて対話会を開くなど、スタッフ独自の人脈を駆使したイベントも展開した。昨年10月からは店のロゴマーク入りトートバッグなど商品開発にも携わった。

 報告によると、3年間で相談件数は2095件、相談事業者357件、相談後の創業数45件。リピート率は85・2㌫にのぼった。相談者の年齢層は40代が34㌫と最も多く、次いで30代が25㌫、50代が19㌫と続き、これからの本市経済を担う年代層が最も多く足を運んでいた。

 スタッフ2人は閉所後、本市で個別に仕事を継続する予定だ。デザイナーの梅田雄介さんは、市内事業者から相談を受けて、3年間にわたり49件のチラシ制作や36のロゴデザインなど計230件の制作物作成に関わった。「今後はECサイト運営サポートやデザイン案件に引き続き携わりつつ、飲食物販売にも挑戦していきたい」と意欲を見せた。

 デザインを学ぶ良書として支持されている『デザイン力の基本』の著者でもあり、デザインコンサルタントを務めたウジトモコ(宇治智子)さんは、「地方創生においてデザインは資産。壱岐の価値を昇華させることにより、島の事業者が豊かになるお手伝いができて良かった。今後も継続していきたい」と抱負を語った。

 しかし、これまで事業経営などを相談してきた市内事業者の心中は複雑だ。報告会に参加した郷ノ浦町の割石和孝さんは「イキビズは新しい仕事の形を提案し、たくさんの人とのつながりも作ってくれた。別の形で同様の施設ができると良いと思う」と述べた。また、別の事業者は「これからどこに相談すればいいのか」と困惑の表情を見せた。