2021.3.16高齢者向け支援など予算削減へ

財政不足による予算削減とサービス低下が市民生活に影響

 市は、財源不足による財政立て直しのために高齢者向けの市民サービスや補助金、事業発注や委嘱などの契約見直しを開始した。白川博一市長は施政方針の中で「令和3年度を本市の財政立て直し元年と位置付ける」と述べ、市民に対して「大きな痛みを伴う項目の行財政改革を断行しなければならない状況にある」とし、市民への理解を求めた。市より契約解除や補助金減額などの連絡を受けた市民は、突然の事態に「今後どうなっていくのか」と驚きと不安を口にした。

 

 市議会定例会3月会議初日の12日、白川市長が述べた施政方針には、令和3年度からの財政見直しが示されている。主な削減内容は▽毎年恒例の敬老会開催を廃止▽敬老祝金の支給を77歳は廃止、88歳は減額支給▽65歳以上を対象とした入湯優待券、はり・きゅう・あん摩等助成券交付を半減。入湯優待券は12枚から6枚へ、はり・きゅう・あん摩等助成券は10枚から5枚へ▽老人憩いの家は老朽化の理由で無償譲渡、もしくは解体▽介護保険料の増額。主に高齢者向けサービスが対象とされた。老人会や文化施設などへの予算削減も検討されそうだ。

 白川市長は議員からの一般質問で財政不足について「平成29年以降、基金の取り崩しをせねばならず、財政の立て直しが必要。将来の財政運営のため、基金に頼らない強力な行財政改革を行う」と説明。財政不足の原因は、公共施設や出先機関の見直しを行わなかったことだとした。また、歳入に対して歳出が多いことも基金取り崩しの要因と述べた。

 令和6年度には財源不足額を補填する財政調整基金残高は約6千万円、減債基金は3300万円で、合計9300万円の残高となり、このままではさらに財源不足が深刻な事態になることが分かった。

 財政について議員の質問に対し、白川市長は「行政サービスの低下を招かないように行政改革に努める。市民生活に影響があるものは説明なしでは進めない」と述べた。しかしその一方で、小学校の非常勤講師に対して「来年度から委嘱しない」と突然言い渡す例や、市が契約している民間事業者を解約する事態が起きている。理由では「予算がないため」と告げるのみで、解約対象者に対して詳細な説明はない。

 市は今後、公共施設の休止や廃止、統廃合による人員の見直しなどをはじめ、その他の事業者との契約や市民サービスへも、財政見直しのためにメスを入れていくようだ。郷ノ浦町で事業を営む男性は「突然市民に痛みを強いる理由や経緯がわからない。コロナ禍で事業者や市民生活は痛手を受け、次は財政切り詰めでさらに痛手を受けている。この先、どうなっていくのか」と不安を口にした。