2020.10.27火災が頻発、防災強化の必要
昨年同月の約2倍。防火防災活動や警戒放送で未然防止を
今月に入り、市内各所で山林火災などの被害が頻発している。同月比の比較では、昨年は月末までに4件、今年は20日時点で7件と約2倍に増加している。今月は、火災発生の原因となる気象庁発表の乾燥注意報発令はないが、降水日が少ないことや、落ち葉や枯れ木のたき火による不注意が多いようだ。この事態を受けて、市消防本部は「たき火の後始末や油断がほとんどの原因。異常な火災発生数を抑えるため、十分な警戒が必要」と警鐘を鳴らしている。
10月に発生した主な火災発生状況は、▽1日2件=石田町池田仲触で山林火災、郷ノ浦町渡良東触のツインズビーチ付近で山林火災▽5日=郷ノ浦町釘山触で建物火災の通報があり、消防車が出動したが、誤報と確認▽7日=芦辺町深江南触のライスセンター付近で山林火災▽8日=郷ノ浦町田中触公民館付近で山林火災▽16日=石田町本村触で山林火災▽18日=郷ノ浦町柳田触で山林火災▽19日=郷ノ浦町片原触で山林火災。発生した火災により人的被害にまでは至ってはいないが、山林火災は20日現在で7件も発生するという異常事態となっている。
(一財)日本防火・防災協会の公表資料には、「日常、頻発する火災の予防及び救急を支援するため、自然災害による被害を最小限に食い止めるためには、住民一人ひとりが日頃から『自分たちの地域は自分たちで守る』という意識を持ち、自主的な防火防災及び救急体制を整備することが必要」とある。2013平成25)年12月には、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」 (平成25年法律第110号)が成立し、地域の総力を結集した地域防災力を法律で定めた。
また、自主防災組織の重要度も増し、2016(平成28)年の段階では、全国1741市区町村のうち1674市区町村で 16 万1847の自主防災組織が設置され、活動カバー率は81・7㌫となっている。
火災異常発生月の現在、アナウンスで「火の用心」を伝える防火防災活動や、島内放送で警鐘する動きは少ない。市消防本部は「今後は、鎮火後などにFM告知放送の回数を増やす。また、広報壱岐やJA広報紙、車両マイクで防火警鐘を促す」とした。当紙取材の20日以降、島内放送の頻度は増えたようだ。しかし、火災発生時に鳴り響く防災無線の深夜放送で、音響の大きさに驚き、目が覚めた高齢者などの睡眠や健康面への影響も考えられるため、根本的な火災減少が望まれる。
頻発する火災を異常事態と捉え、少しでも火災発生を抑えるため、防止に向けた全島民の活動と意識向上が必要だ。