2020.10.20島の業者も潤う発注形態に

 市議会9月会議で、市が「2億7225万円の随意契約を議案上程の即日採決」を求めた市ケーブルテレビ施設通信機器更新工事をめぐり議論が紛糾し、市の議案撤回により幕を閉じた。

 その後、同工事に関して新たな動きが見えてきた。市ホームページで8日、「公募型プロポーザルに関する公告」として、市は同工事を行う事業者の募集を開始した。

 これまでの経緯は次のようになる。同議会開会日の先月10日、同工事を、市ケーブルテレビ施設管理者である光ネットワーク(株)の関連(親)会社である(株)九電工長崎支店を契約先として議案を上程した市だったが、議会では「行政による入札制度の否定だ」などの反対意見があり、結果として16日に議場で「契約内容を精査する必要がある」との理由で、議案の撤回を示した。

 議案は国が推進する「GIGAスクール構想」として、小中学校の児童生徒に1人1台のタブレット端末を配備するため、高速大容量の通信ネットワークを整備するもの。このための市ケーブルテレビ内施設工事として、同額の契約金額を上程した内容だった。

 今回の公募型プロポーザル方式について、専門書には「発注者側が工事を請け負いたいとする事業者の参加希望者を募集し、設計の取組方針などの提案を総合的に評価して受注先を決める方法」とある。今回の工事の場合、発注者は壱岐市になる。また、有識者によると、「民間建築や工事の場合は、お気に入りの建築家に特命でお願いしたり、数社から見積りを取って一番安いものを選んだりしている。しかし、公共建築(工事)では透明性・公平性・客観性が問われるため、民間建築のようにはいかない」という。

 市が公表した公告では、工事期間を契約締結の日から令和3年6月30日までとし、工事の限度額を消費税と地方消費税を含めた2億8099万9400円としている。公募の参加資格は、本年度市競争入札参加資格名簿に登載されている者とし、参加申し込みをするための提出書類は、19日午後5時までを期限とする。同工事審査委員会が審査をするための企画提案書は11月11日まで。提案書の要件を満たしていると判断された事業者には、同月17日にプレゼンテーションを実施し、市議会の議決を通して11月下旬以降に契約者を決定する流れだ。

 市政策企画課は「既存の設備やその後の保守の面で指名競争よりも公募型が良いと考えた」と理由を述べた。同工事の公募概要を見た市内建設関係者は「大手が請け負うことになろうが、その後の工事は島内業者への発注の調整も願いたい。島の業者も潤う流れを考えてもらいたい」と話した。

 多額の工事だ。なるべく島内業者にも仕事が流れる発注形態となるよう市と請け負い先には調整を期待したい。どこが契約先になるのか注目だ。(大野英治)