2021.3.09施政方針で財政立て直しを決意

白川市長、市議会3月会議で財政困窮による協力を呼び掛け

 白川博一市長は市議会3月会議の施政方針で、「地方交付税や国・県からの補助金等に依存した財政運営を続けながら、これまで同様の行政サービスを維持していくことは困難であることが現実となった」と述べた。この状況から、「令和3年度を本市財政の立て直し元年と位置付けていく」として、自らの給与を任期満了まで1割減額することで決意を示した。しかし、事業の廃止や休止・縮小などは余儀なくされ、市民サービスや事業契約の受注に影響が起きてくるものと考えられる。

 

 本市の毎年度の予算編成では大幅な財源不足が生じた。財政調整基金など基金からの繰入れを前提とした予算編成を行い、実際の決算においても基金を取り崩し続けているのが現状だ。

 市の財政運営は、地方交付税や国・県からの補助金などに依存した体質だったことの影響も大きい。

 少子高齢化による社会構造の変化や地方分権の進展、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大が猛威を振るい、未だ収束が見えず経済の回復の見通しが立たない状況は、本市経済に大きな打撃を与えた。

 施政方針では「将来にわたり責任ある行財政運営を行っていくためには一度立ち止まり、徹底した内部管理経費の削減はもとより、市民生活にも少なからず影響する経費の節減、受益者負担の適正化など、大きな痛みを伴う項目についても行財政改革を断行していかざるを得ない状況に至っている」と厳しい将来の見通しを述べている。

 このため、令和3年度当初予算では事業の削減や休止、市内事業者などとの契約見直し、高齢者福祉や子育て世代などの市民サービスの予算減額を行わざるを得ない事態となった。市民の生活にも今後、さまざまな影響が及ぶことになる。

 白川市長は「こうした状況から令和3年度の予算編成に当たっては、この難局を乗り越えていくために、事業の廃止や一時的な休止・縮小など、これまで以上に踏み込んだ見直しを図ることにより、財源の確保に繋げる。市民には理解と協力をお願いしたい」とするが、市民からの反発は避けられそうにない。

 市議会3月会議では、令和3年度を本市財政の立て直し元年と位置付け、市長・副市長・教育長の給料を、令和3年5月から任期である令和6年3月までの期間、1割減額することを提案している。

 令和3年度一般会計の予算は、218億2千万円(対前年度当初予算比18億2千万円減、7・7㌫減)、特別会計を含めた予算規模は302億4674万9千円(対前年度当初予算比19億3671万1千円減、6・0㌫減)。

 当初予算へは基金から約18億円の繰り入れを行い、次年度以降基金の繰り入れは困難になる見通しだ。そのため今後は事務作業などのデジタル化推進と合わせ、行政関連事務所やへき地保育所、幼稚園の統廃合、類似施設の統合、さらには使用料、手数料の改訂など財政基盤の安定を図る必要に迫られる。