2023.5.15政治資金規正法違反告発を受理
壱岐クリーンエネルギー株式会社から自民党壱岐支部へ60万円の寄付行為
壱岐クリーンエネルギー株式会社（中原達夫代表取締役）から自民党壱岐支部へ60万円の寄付行為があったことに関して、政治資金規正法違反の疑いがあるとして山口欽秀議員は1月24日、壱岐署へ刑事告発し先月17日に受理されていることが当紙の調べでわかった。告発状には「本市が資本金の一部の出資を受け運営する第３セクターの同社が、特定の政党に寄付を行った。政治資金規正法では政治活動に関する寄付をしてはならないとある」とし、「厳正なる捜査と処罰を依頼するために告発した」と理由を記している。取材に対し山口議員は「受理までに時間はかかったが、法に沿った捜査を進めてもらいたい」と今後の状況を注視している。
「政治資金規正法に違反」と告発
市議会１月会議の１月23日、壱岐クリーンエネルギー株式会社の令和３年度決算報告で、損益計算書に記載された寄付金99万円のうち、自民党壱岐支部に60万円支出していることが市の説明によりわかった。同社には市が資本金の４分の1を出資していることから、「寄付行為に問題があるのではないか」との議論が上がった。この時、市は「監査報告を尊重し、寄付については知り得ないこと」と不明瞭な答弁にとどめた。
市議会定例会３月会議の３月９日、山口議員の一般質問で、寄付行為に関する質疑が交わされた。同社の監査役は深見忠生氏、末永榮幸氏、米本実氏の３人が従事し、同社の監査報告書をまとめ、昨年11月17日付で決算報告などについて「適正である」と判断していた。さらに、市の説明にも「市が関与する部分は、経営状況の評価、事業目的・経営状況などに適切な指導助言を行うものであり、寄付について市は知り得ないこと」と答えていた。
山口議員は「政治資金規正法第22条に、第３セクターの会社は政治活動に関する寄付をしてはならないとある。明確な政治資金規正法違反だ。白川市長は同社の取締役でもある。会社が独自にやったから市は把握していないなどは許されない。市長の認識を問う」として詰め寄った。
一方で、白川博一市長は「同社は、本市とは独立した会社であり、自主的主体的な健全経営に取り組むことが原則であると認識する。しかし、市として経営状況などの適切な把握が、特に今回は寄付先の把握になるが、不十分であったと反省する」と説明している。
同社は２月４日に臨時取締会を召集、1月30日付で寄付金に関する振り返し処理の修正が完了したと報告した。
厳正な捜査と処罰を依頼
告発状には市議会一般質問での発言と同様に「市から資本金の一部の出資を受けた会社は、政治活動に関する寄付をしてはならないとされているにも関わらず、令和３年10月８日、場所不詳において、同志の議員もしくは長に係る公職の候補者を推薦し、支持する政治団体『自由民主党壱岐支部』に対し、不詳の方法により現金60万円の寄付を行ったものである」と、告発事実を記している。
告発に至った経緯では「同社は毎年1月の市議会定例会で前年度の決算報告を行なっている。今年1月23日の市議会で同社の令和３年度決算報告が行われるにあたり、損益計算書の科目に99万円の寄付金があると記載されていた。同日の一般質問で、寄付金の内訳を尋ねたところ、『自由民主党壱岐支部に60万円、清和会に39万円の寄付を行なっている』と答弁があったことから本件が発覚した。
市から資本25・５㌫の出資を受けている同社が、特定の候補者を応援する政治団体に対する寄付を行うことは、政治資金規正法に違反すると認められる」として、厳正な捜査と処罰を依頼する旨を捜査機関に伝えた。
証拠資料として、自民党壱岐支部が令和４年３月31日に市選挙管理委員会に提出した令和３年度の収支報告書の写し、本件が発覚した市議会1月会議の議事録、同社の決算報告書の写し、同社の定款を提出した。
市長の役員報酬に市民が言及
市議会３月会議では、白川市長は同社の取締役に就任し、報酬約70万円を得ていることもわかった。山口議員は同会議で「市長は長期にわたって取締役を務め、報酬をもらい続けている。同社には税金が投入され、その利益の中から一定の報酬を受けている。それで市民の理解は得られるのか。政治的な倫理に疑問が残ったまま取締役の座に留まるのか。同社のあり方の検討が必要ではないのか」と意見した。白川市長は「私の取締役の立場、経営のあり方について検討したい」と答えた。
一連の質疑を聞き、芦辺町の住民は「同様の案件について判例がある。以前、唐津市長（佐賀県）は社団法人佐賀県モーターボート競走会の理事に就任していた事例で、裁判所は『市長は社団法人の会長理事の地位に就くことは許されない』とある。今回も同様のことではないのか」と疑問を呈している。