2023.5.15新体制で市教委は変わるか

 先月25日に開かれた市議会4月会議で、19日付で任期満了に伴う久保田良和教育長の退任と、新たに山口千樹氏の次期教育長の就任が決まった。任期満了とはいえ、3月に起きた男子高校生の行方不明による死亡事案の検証と混乱の収拾は未だ済んだとはいえない。「いきっこ留学」で来島し、高校進学とともに「離島留学」の制度を活用し本市で生活していた生徒の死亡は、離島留学制度の問題点が浮き彫りとされた。無論、市教育委員会に及ぶ責任も重い。

 現体制の市教委のあり方には、これまで度々苦言を呈した。今後、山口新教育長は新体制のもと、最も大変な時期となった市教委の運営を任されることになる。ここで現体制の市教委の問題を振り返る。

 2016年5月、市教委が進める芦辺中新校舎建設は、建設予定地とされていた芦辺町ふれあい広場周辺は土砂災害特別警戒区域だとわかった。当紙は「子どもの安全を考えれば、別の場所にすべき」と紙面で意見した。この問題追及は約10か月間に及び、市教委が主催した保護者説明会も賛否の意見で割れた。結果として、建設予定地は旧那賀中に変更となった。

 同年7月、芦辺小校舎改築工事で建築確認申請に疑念が起きた。校舎解体と設計で落札した福岡市の業者との事務遅延が起き、入札の不備も指摘された。しかも、市は建物が未完成の時点で建築設計の業者に支払いを済ませていたこともわかった。特に建築設計を依頼した業者に大きな問題があり、市教委は「担当者不在と連絡不通、詳細すらわからない」などあり得ない事態が起きた。市議は「財務規則違反」と指摘した。

 2018年5月、勝本町の公民館で小学生男子が石碑の下敷きになり緊急搬送された事故が起きた。市公民館条例では、公民館の管理は市教委に委任するものと規定されている。管理体制や原因、今後の対応など、管理者としての説明をすべきとの声があったが、会見は開かれなかった。

 2021年8月、現場教師から当紙宛に、久保田教育長が推奨する「問題解決的学習」の授業形式に「賛同できない。しかし、意見をすれば罵倒される」などの投書が寄せられた。その後の調べで、同様の考えを持つ教師は複数いることが判明。さらに教育長によるパワハラとも取れる行為の告発があった。市教委と現場教師との考え方の違いや、圧力が明るみになった。

 そして当紙に関して。先に述べた2016年の芦辺中と芦辺小の事案を追及した記事の掲載以降、市教委管轄の小中学校、公共施設などに対して当紙の不買指示を行ったことが、当時の校長らからの情報提供で判明。不買措置は改善されることなく現在に至る。

 こうして振り返れば現体制への疑問は多い。市教委と教育長にも言い分はあろうし、自らこそが正論との主張もあろう。それはそれで構わない。ただ、事実を羅列すれば上記のようになるだけだ。

 20日から始まる新体制。どう変わっていくのか今から楽しみでならない。