2022.2.15市は控訴を断念、判決確定

市と市長は「判決を真摯に受け止める」と反省の意

 

 2016(平成28)年4月の市長選で、相手候補者を支援したとして白川博一市長が恣意的(主観的で自分勝手なさま)に公共工事の入札指名を回避したとして、約300万円の賠償金の支払いを命じられた裁判で市は控訴を断念、判決が確定した。一方で壱岐産業(株)の眞弓倉夫元代表も控訴せず。これにより、白川市長は賠償金や弁護士の支払いにかかる費用など、自ら負担することになった。先月18日、長崎地方裁判所で白川市長に対し裁判長は「裁量権の逸脱、濫用があった」と厳しい判決を下している。

 

 2016(平成28)年4月の市長選に端を発する白川市長の恣意的行為による入札指名回避の裁判は、市に対し賠償金支払いの判決が下り、約6年にわたる争いに終止符が打たれた。

 同年12月に公務員職権濫用罪で刑事告訴から司法の対決が始まり、2019(平成31)年2月に民事訴訟、今年1月18日に判決が言い渡された。裁判長は「市長が恣意的に行ったことと解さざるを得ないこと、裁量権、すなわち行政を進める中で、市長に許される判断の余地、許容範囲の逸脱、濫用があった」とし、対立候補を支援したために公共工事の入札を妨害されたとする、原告の訴えを認めた。

 一方で、「市が賠償責任を負う本件については、公務員である市長個人は賠償責任を負わない」とし、市に対して損害賠償金支払いを命じた。これを受け市は先月24日の市議会1月会議で、賠償金の支払いや裁判にかかった費用について市長個人に請求する方針を示し、市議会は賛成多数で可決した。

 市は同会議で、損害賠償請求として653万5865円を補正予算として計上。これには、控訴の可能性を踏まえた控訴費用142万5112万円が含まれていたが、控訴断念の判断から同額が減額となる。市が白川市長へ請求する損害賠償などは、約500万円になる見通しだ。

 市総務課は「控訴の判断は弁護士と話し合い、分析の結果、決めた。判決を受け、控訴期限までの約2週間、新たな事実検証も行なった。双方の主張を聞いた裁判長の判決結果を受け止める。市長個人も同様の意向を示した」と控訴断念の理由を語った。原告側については「控訴期限までに控訴はなかった。眞弓氏とは後日、白川市長が会うと話している」とした。「白川市長も判決を真摯に受け止めると話している」とし、賠償金などを負担する意向を示した。

 眞弓氏は「判決確定後に市長と話をしたが、反省しているとは思えない。辞任を提言した」と厳しい口調で話した。