2023.3.21寄付行為と役員報酬に言及
自民党壱岐支部へ60万円の寄付行為、関連する市長への報酬について質疑交わす
市議会定例会3月会議の9日、山口欽秀議員の一般質問で、壱岐クリーンエネルギー株式会社(中原達夫代表取締役)から自民党壱岐支部へ60万円の寄付行為があったことに関する質疑が交わされた。さらに、白川博一市長は同社の取締役に就任し、報酬約70万円を得ていることについても意見した。山口議員は「寄付行為は政治資金規正法違反であり、同社から市長の報酬は政治倫理に関わる」として、白川市長へ答弁を求めた。寄付行為は現在、政治資金規正法違反として刑事告発されている。
壱岐クリーンエネルギー株式会社から自民党壱岐支部へ60万円の寄付行為は、市議会1月会議の令和3年度決算報告で、同社の損益計算書に記載された寄付金計99万円について疑問が上がり、計上された寄付金の一部が自民党壱岐支部に支出していることが市の説明によりわかった。山口欽秀議員は、「市は同社へ資本金の4分の1を出資している。なぜ問題にしないのか」と指摘し、経営状況と収支の流れを問うた。市は「監査報告を尊重し、寄付については知り得ないこと」と不明瞭な答弁にとどめた。
同社の監査役は深見忠生氏、末永榮幸氏、米本実氏の3人が従事し、同社の監査報告書をまとめ、昨年11月17日付で決算報告などについて「適正である」と判断していた。
一連の質疑や経過説明に納得しなかった山口議員は、政治資金規正法に反することを理由に1月24日、壱岐署に対して告発状を提出し、司法による調査を求めた。現在、告発状が受理されたとの報告はない。
一般質問で市長の認識と責任を問う
市議会3月会議の一般質問で、山口議員は同社の寄付行為に関する関連の質疑を行った。「同社は、壱岐市が資本25・5㌫を出資している第3セクターの運営会社だ。しかし、政治資金規正法第22条に、第3セクターは政治活動に関する寄付をしてはならないとある。ところが同社は、自民党壱岐支部に60万円の寄付を行った。明確な政治資金規正法違反である。市長はこの責任についてどういう考えか」と問うた。
白川市長は、総務省が示す第3セクターの経営健全化等に関する指針を例にし、「第3セクターは、地方公共団体から独立した事業主体として、自らの責任で事業を遂行する法人にあり、第3セクター等の経営権は経営者に帰するものであるとされる。すなわち、第3セクターである同社は、本市とは独立した会社であり、自主的主体的な健全経営に取り組むことが原則であると認識する」と説明した。
一方で白川市長は「今回の同社の寄付行為は、その内容を事前協議する取締役会なども召集されず、決算書においても知り得ない状況だった。同指針には、地方公共団体は第3セクターの現在、または将来の経営状況や資産債務の状況について適切に把握を行うことが必要であるとされる。市として経営状況などの適切な把握、特に今回は寄付先の把握になるが、不十分であったと反省する」と陳謝した。
続けて白川市長は寄付行為について「同社は本市とは独立した運営の会社であり、自主的主体的な健全経営に取り組むことが原則であると認識している。2月4日に臨時取締会が召集され、今回の寄付行為について同社の経営責任者である代表取締役の説明では、これまでの経過説明、寄付金に関する振り返し処理の修正が完了し、謝罪の意を示す文書を報道機関宛てに送ったなどの報告を受けた。結果として帳簿上、寄付はしていないことになるが、当然のことながら寄付をした事実は消えることはない」と説明した。
山口議員は「白川市長は同社の取締役であり、経営責任の一端も担っている。今回の寄付で間違いがあったから1月30日に訂正を行ったというが、それで済ますことはできない。市長の認識を問う」とし、白川市長は「今後、同社の取締役として、経営の公共性や公益性が担保できるよう、適切に指導、改善を求める。今回の寄付行為は刑事告発がなされており、警察の捜査を見守りたい」と答えた。
山口議員は「市長は長期にわたって取締役を務め、報酬をもらい続けている。同社には税金が投入され、その利益の中から一定の報酬を受けている。それで市民の理解は得られるのか。政治的な倫理に疑問が残ったまま取締役の座に留まるのか。同社のあり方の検討が必要ではないのか」と意見し、白川市長は「私の取締役の立場、経営のあり方について検討したい」と答えた。