2020.11.17交通ビルの外壁落下、ひとまず安堵か

壁面材の前面撤去で、ふれ愛通り商店街側の外壁落下の危機を回避

 

 建物全体の老朽化による外壁の落下やはがれ、庇(ひさし)など取り付け部分の崩壊など、幾度となく危険視されている、ふれ愛通り商店側の壱岐交通ビル外壁の危険箇所撤去工事が終了した。工事は先月7日から、商店側に面したビル外壁一面に足場を組むなど本格的な作業に入った。最も危険視されていた、今にもはがれ落ちそうな外壁の壁面材を数枚撤去し、工事が終了した先月17日ごろには、危険箇所以外も含めたすべての壁面材が撤去された。10日現在はその後の検査のため、足場と防御ネットは残されたままになっている。

 

 同ビルは、2018(平成30)年3月16日に瞬間最大風速10㍍以上の強風により、バスなどが停車する正面玄関上の庇(ひさし)が落下、同年7月3日には台風7号の強風により、商店街側の壁面材がはがれ落ち道路に散乱した。昨年7月13日、ビル最上部付近の外壁のはがれが確認され、落下の危険にさらされた。今年に入り9月2日から3日にかけての大型台風9号と、同月6日から7日にかけての台風10号により、新たな外壁のはがれが発生し、ビル側面にぶら下がる壁面材落下の危機に周辺住民はさらされた。

 市や市議会は、ビルの改修や撤去などの議論、ビル所有者との交渉を重ねたが、抜本的な解決に至らなかった。昨年8月6日、郷ノ浦町の商店組合と市商工会、自治公民館らで構成される「旧壱岐交通ビル解体を求める会」(久保繁弘本町商店組合長)が、ビルの解体を求める要望書と3463人分の署名を白川博一市長に手渡し、早期解決を嘆願していた。

 先月7日から始まったビル側面の危険箇所撤去工事は、所有者が任意に始めたものだった。市危機管理課や周辺住民も工事の進展を見つめ、同月17日ごろにようやく危険箇所の撤去を終え、ひとまず商店街への外壁落下の危機は去った。

 工事後に市危機管理課は「今回の外壁の件で、ビル所有者とも話をし、交渉の継続もしている」と語った。

 周辺住民は「とりあえず以前よりは安心して通行できる」と語るが、「最上階付近の窓が空きっぱなしの箇所もある。今後、ガラスの落下は大丈夫なのか。コンクリートがむき出しで壁の強度は大丈夫なのか。来年には解体するとの話も聞くが、本当なのかどうか」とし、早期解体を望む考えを示した。