2020.7.14九州郵船、対前年比で約6億円の収入減

航路対策協議会でコロナ禍による大幅収入減を報告

 

 九州郵船株式会社(竹永健二郎代表取締役社長)は1日、市航路対策協議会(白川博一会長/以下、航対協)で、新型コロナウイルス感染症の影響により4月から6月までの3か月間で約6億円の減収になったことを報告した。竹永社長は「運転資金として繰越金や、2社からの融資などで資金繰りをした。しかし、7月以降も同様の状況が続いた場合、より困難となる」と現在の経営状況を説明した。

 

 航対協の場で、竹永社長は「通常この時期には約10億円の収入がある。しかし、今年のゴールデンウィークは緊急事態宣言で外出自粛があり、当社でも減便などを行い、約4億円の収入にとどまった。4月から6月の3か月間で約6億円の収入減になっている」と、コロナ禍により悪化した経営状況を説明した。同社は指定航路での運航を義務付けられていることから、運航継続のために喫緊の金策に奔走したようだ。

 竹永社長は「この状況から、当社では株主総会を通じて繰越金からコロナ対策費として3億円、政策金融公庫から1億円の融資、商工中金から2億円の融資をお願いしているところだ。しかし、7月以降も同様の状況が続いた場合、より困難となっていく」と苦しい懐事情を訴えた。

 本市のみならず、全国的に甚大な経済的困窮を与えた新型コロナウイルス感染症の影響の発端は3月までさかのぼる。3月10日に政府は2月末からのイベント開催自粛を延長。また、4月7日の1都6県の緊急事態宣言から始まり、同月16日に対象地域を全国に拡大。同宣言は5月14日に13特定警戒都道府県を除いて解除され、同月21日には1都3県1道を除いて本市の玄関口である福岡市も解除となった。その後、同月25日に全国で解除。6月19日に県を超えての移動制限が解除され、ようやく日常が戻り始めた。

 同宣言や県境移動制限の影響により、九郵は運航便変更を余儀なくされた。4月1日から7月22日まで、博多~芦辺間のフェリー1往復の増便を延期。ゴールデンウィーク期間を除く4月21日から7月3日まで、ジェットフォイルの1隻運航や減便、印通寺唐津港路も5月8日から7月22日まで、通常5便の運航を4便に減便するなどして乗客減に伴う収入減に対応してきた。

 この状況を受けて、竹永社長は「できるだけ減便が増えないようにしているが、今後の状況によっては増やさざるを得ないかもしれない。これまでの金融危機とは違って新型コロナによる影響は見通しがつかない。当社としては営業活動などで努力していく」と理解を求めた。