2020.5.26コロナ終息後の施策など検討
農漁業者やタクシー事業者へ新たな支援策を示す
未だ先行きの見えない新型コロナウイルス感染症による外出や島外への渡航自粛の影響から、市と市議会は15日、市内事業者や市民への支援策を検討するための市議会定例会５月会議を開いた。先月30日の２回目の議会から、矢継ぎ早に約２週間後の開催となっている。今回は、コロナ終息後に向けた観光活性対策案と農漁業者やタクシー事業者への支援策などを上程。議会は全会一致で可決した。
感染症終息後の観光活性策
新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などの影響から、大幅な観光需要の低迷など観光事業者を始めとする市内各産業に及んだ経済被害に対処するため、市観光課は市観光需要喚起対策事業を実施することに決めた。
同課は「感染症終息後には、いち早く経済を回復活性化させるためには社会情勢を注視しながらも、速やかに全国に先駆けて旅行者を呼び込む準備が必要」と説明した。
同事業は、国が先月７日に今年度補正予算として１兆６７９４億円を計上した「Ｇｏ Ｔｏキャンペーン」に沿ったもの。観光、イベント、運輸業、飲食業などに関する支援として、感染症終息後に国内での人の流れや街のにぎわいを創出し、地域活性化を図るため、官民一体で取り組む。
また、１日に開いた第４回市緊急経済対策会議で市旅館組合から「コロナが終息した後、観光客を呼び込むための準備として、施策の検討をお願いしたい」と要望を受けての施策にもなる。
15日の第５回市緊急経済対策会議で委員は「コロナ終息後の観光客を誘致するには、現状のようなジェットフォイルが減便ではツアーなどの予約も決めづらい。通常運航となる目安が必要」と述べた。白川博一市長も「移動の足が決まっていないと終息後の観光具体案も進まない。九州郵船の運航ダイヤにかかっている」とし、同事業と船便運航の関連は深いため、九州郵船へ早期に通常配船に戻ることを求めた。これを受けて九州郵船は「６月以降をめどに考えている」と返答した。
事業は５項目を用意している。補正予算は一般財源から４千万円。総事業費は７１２５万円。（詳細は紙面に掲載）
漁業者への緊急支援に補助金
コロナ禍の影響から、観光産業や飲食業などの需要が大幅に低下したことで、魚介類の消費も低下して魚価の値崩れが起きた。そのため収入が大幅に減少し、赤字になることから出漁を控える漁業者が後を絶たない。
市は漁業者の経営維持のほか、漁協経営への影響も大きく本市水産業の維持が困難になると予想。緊急経済対策事業として今月から10月までの６か月間、漁業者に対して漁協へ水揚げする際の販売手数料の５㌫を補助することに決めた。補正予算額は一般財源から５５００万円。
市は「販売手数料の支援で出漁を推進し、水揚げの増加につなげ、本市水産業を維持存続させる」と述べた。
農業者の経営安定と肉用牛の価格低下に補助金
農業もコロナ禍の影響で需要が減少している。特に高収益作物である花きの価格が低落し、生産者の経営悪化が懸念される。市は、国の緊急経済対策事業に加え、市単独で次期作に向けた種苗や資材購入などの経費の一部を10アールあたり５万円補助する。補助金額は、述べ作付け面積１１５アールで57万５千円。
さらに、畜産では肥育経営で枝肉価格が低下し、肥育農家の経営悪化が懸念されている。市は国県の緊急対策事業に加え、市単独で、優良な肥育牛生産など経営体質強化への取り組みに出荷頭数当たり２万円を補助する。補助金額は、本年度出荷見込み頭数を５６３頭として１１２６万円。
補正予算は一般財源から１１８３万５千円。
市の業務にタクシー利用で支援
１日に開かれた第４回市緊急経済対策会議で、壱岐地区タクシー協会は「４月のタクシー利用者は、前年同月比で55～60㌫も減少した。５月はさらに悪化する見込み。レンタカーも１５０台以上あるが予約はない。観光客の動向はすぐに回復はしないので、内需で対応するしかない。市の業務でタクシーやレンタカーに切り替えることはできないか」と要望していた。
要望を受けた市は、５月18日から８月31日までの土日祝日を除く73日間の予定で、公用車を使用する２業務について臨時的にタクシーを利用することにした。
各施設への文書など連絡便業務に２２７万３千円、各支所事務所集金業務の１１２万７千円で計３４０万円を一般財源から補正した。また、感染症が早期に終息し、観光人口も従来並みに回復した場合は、期間内であっても通常利用に戻すことを付け加えた。
子育て世帯へ給付金
コロナ禍の影響を受けている子育て世帯への生活を支援するため、児童手当を受給する世帯へ１万円の臨時特別給付金を支給する。
該当者は市内３５５４人。国費から子育て世帯臨時特別給付金で３５５４万円と、事務費補助金72万５千円が補正予算となった。