2023.10.10イルカ死亡、未成年飲酒など問題多発

1128万円のイルカ購入費を可決、採決前日には新たにイルカ死亡を報告

 

 市議会9月会議の先月28日、本年度市一般会計補正予算などを含む議案9件、報告6件、認定8件、諮問3件を賛成多数で可決した。同22日の予算特別委員会で意見が割れたイルカ購入費などにかかる補正予算1128万円は、本会議最終部の採決でも意見が交わされた。購入に賛成の立場で討論した中田恭一議員は「今回の購入までは」と言葉を濁しながら「本市はイルカパークを含めた観光ツアーがある」などを理由にした。購入に反対を示した山口欽秀議員は「原因究明をしないまま突き進むような行政であってはならない」と厳しい姿勢を見せ、森俊介議員は「イルカ購入前に汚泥調査などが優先だ」とし「市長が言うような観光の目玉であるとは思わない」と意見した。本会議の前日、再び新たなイルカの死亡が確認。今年3頭目の死亡となり、イルカパークでは現在、1頭のみの状況だ。

 

 本年度市一般会計補正予算の採決をめぐり、討論では3人の議員が登壇した。賛成討論は中田議員、反対討論は山口、森議員の2人。討論はイルカパークのイルカ購入費に関する内容だった。

 賛成意見として中田議員は「イルカの死亡が立て続けに起き、原因がわからない状況だが、本市はイルカパークを含めた観光ツアーがある。今回の購入までは賛成としたい。今後も死亡が続けば風評被害につながるが、イルカショーを減らし、イルカとの触れ合いに重点を置くなどでストレスの軽減に努めてもらいたい。市は早急に調査を行い、対策を講じて良い環境となるようお願いしたい」と述べた。

 山口議員は「イルカの死亡が続いている現実を直視しなければならない。原因究明をしないまま突き進むことは、行政としてあってはならない。市長は、イルカは本市の観光の目玉と言うが、世界は今、動物愛護に関する考え方が急速に変化しつつある。動物保護団体からイルカショーは必要以上にストレスをかけると指摘があり、国内でもイルカショーの廃止を求める声が広がっている。市に対しては、今後の方向性をしっかり考えることを求めたい」と意見した。

 森議員は「市長は、イルカは本市の観光に必要であり、観光の目玉であると言うが私はそうは思わない。死亡事案が続き、原因を考察していると言うが、現状はイルカを買う買わないではなく、先に海底の汚泥調査などをすべき。まずはやるべきことを行い、その後から購入の議論だ。順番を間違えている。イルカ購入前の調査が優先だ」と反対の考えを述べた。

 

白川市長、イルカ購入への理解求める

 白川博一市長は、本年度市一般会計補正予算に組み込まれているイルカ2頭の購入費などにかかる予算について、議会の理解を求めるための発言をした。

 白川市長は「予算特別委員会では議員から厳しい意見もあった」としながらも、「死亡の原因がわからない中で原因の検証を重ね、飼育技術の向上などに向けて取り組む」との考えを述べた。

 イルカパーク施設については「本市になくてはならない施設。イルカあってのイルカパークであり、そのことが本市の振興発展になる」とした。相次ぐイルカ死亡事案の対応については「海底汚泥の成分検査、海水の入れ替えの検討など、意見を引き継ぐ委員会を設ける」と述べた。

 

未成年飲酒、市は「事実だった」と認める

 市議会9月会議の先月22日、市はイルカパーク内での未成年飲酒の事実を認めた。

 ことの経緯は、補正予算を審議する予算特別委員会で森議員の質問からだった。「同園指定管理者のイキパークマネジメント高田佳岳代表は、市が連携協定を結び同園で現地事業を行う専門学校(福岡市)の未成年の生徒に、数回にわたり飲酒をさせていると情報がある。市担当職員と同園スタッフとの連絡網で、スタッフが市担当職員へ未成年飲酒に対する注意喚起を要望したが、その後も続いた。市担当職員はその事実を知っていたにも関わらず、傍観したままだと聞く」と質問。市観光課長は「把握していない」の回答にとどめた。

 その後、市議会9月会議最終日の同月28日、高田代表や当該市職員への聞き取りを行った内容についての事実確認や内容を、企画振興部長が説明した。

 企画振興部長は「高田代表は、専門学校の生徒が飲酒することを止めなかった事実があった」と、未成年飲酒の事実があったことを認めた。この事案は「未成年者飲酒禁止法」に触れ、監督者(高田代表)の法的責任が発生する可能性がある。しかし、市は「誠に遺憾。二度とこのようなことがないよう強く要請する。二度とないよう指導管理を徹底する」と、事実上の注意喚起のみの対応だった。

 

またイルカ死亡、今年3頭目

 

 市は先月27日、同月25日の午後11時ごろ、壱岐イルカパーク&リゾートでハンドウイルカ1頭が死亡したことを発表した。死亡したイルカは推定年齢18歳のメス。2021年4月21日に来園、2年5か月の間、同園にいた。

 死亡したイルカは、専門学校福岡ビジョナリーアーツからイキパークマネジメント株式会社(高田佳岳代表)が管理委託を受け飼育していた。

 肝臓値の上昇や8月から白血球値の上昇が確認されていた。投薬により良化傾向にあったが、死亡原因は現在のところ不明。今後の病理解剖で死因が判明し、正式な結果までに約1か月を要するようだ。