2019.1.29「受け止めきれない」と番組司会者(市観光大使による縄文祭)

BSスカパーの番組「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」で壱岐が放送

 

 昨年10月に筒城浜キャンプ場周辺を会場としたイベント「縄文祭」の模様が、タレントの田村淳さんが司会進行を務めるBSスカパーの番組「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」で17日午後10時から約1時間放送された。本市観光大使のHappy(前田紗智・現在は竹腰紗智)氏企画のイベントだ。同番組は通常の地上波では放送できないような、現代社会の問題に焦点を当てる社会派バラエティ番組となっている。当日放送テーマは「謎のスピリチュアリストHappyちゃんに迫る」と題して放送。番組内では本紙323号(平成30年10月19日発行号)を片手に縄文祭を検証し、白川博一市長へ電話取材を敢行するなど、イベントに関する問題に踏み込んだ内容となった。

 

 

 同番組は番組名が示すように、地上波では放送できないような日本における闇の部分を題材とし、BSスカパー契約者が視聴ができる放送。

 昨年10月に市観光大使のHappy氏が、石田町筒城浜キャンプ場周辺で開催した縄文祭の内容と、同氏のブログのフォロワー数7万人、1日最大40万アクセスという圧倒的人気を誇る女性スピリチュアリストの社会的影響力に目をつけ、関係者らが同イベントへの潜入取材を行った。

 番組の紹介欄には「壱岐島で彼女史上最大のイベントを開催するという情報を聞きつけ、現場に潜入取材した。一連のイベントの模様を見た淳も『受け止めきれません!!』とお手上げ!昨今、スピリチュアルという根拠の明確ではないモノの放送を自主規制しているテレビ業界。しかし今もなお、スピリチュアルの力に魅了され、心酔している人も多数いるのも事実である。なぜ人々はスピリチュアルに魅了されるのか?そしてHappyちゃんとはいったい何者なのか。謎に包まれたスピリチュアルイベント『縄文祭』に迫った1時間」(ホームページから一部抜粋)とした。

 

番組司会者は「受け止めきれない」と苦笑い

 放送の前半は縄文祭の模様をVTRで紹介。打ち上がる花火やステージ上で繰り広げられるダンスなどに、参加者や取材者までもが涙を流して感動するシーンが放送されるが、司会の田村さんは終始「受け止めきれません」と苦笑いした。

 またイベントを企画したHappy氏に対しても単独インタビューを行い、氏が提唱する「直感のままに生きること」について取材している。バラエティ番組らしく取材者は際どい質問をした。「直感で今日の帰りに風俗に行こうと思うんですが」と言うのに対しHappy氏は「絶対行ったほうがいい」とし、続く取材者は「しかし財布の相談が。しかも既婚者です。妻が知ると傷つくんじゃないですか」とするも、「お金は無くなってから考えましょう。またなぜ奥さんが傷つくんですか。自分は機嫌がいいから出世して、その分を奥さんに小遣い渡して、いいことしか起きない」と返した。

 また縄文祭を企画した理由には「地球外の星の宇宙人から、お祭りをしなさいとメッセージが来た」と答えている。本市はこのような趣旨による同イベントであることを確認せず後援し、協力への意思を示していた。

 

議会発言にもあった「観光大使に沿うのか」

 番組内のHappy氏のコメントに対し市民は、「個人レベルやサークル的な範囲であれば個人の思想もあり、何も問うことはない。しかし市の観光事業の看板を背負う観光大使としてみた場合は、大きな疑問が残る」と頭を捻る。また別の市民は「番組のコメントは、壱岐市が変な世界に肩入れしていると誤解を招くのではないか」と市のイメージダウンを危惧した。

 昨年の市議会12月会議で山内豊議員は、縄文祭を企画したHappy氏に対して「市観光大使としてふさわしくない」と断言している。また山内議員と植村圭司議員の質問で「市観光大使の要綱の見直しを」の意見に対し、市は「今年度中に市側から観光大使の任期や解任することが可能な要綱見直しをする」とした。現市観光大使設置要綱には、観光大使自ら解任を申し出なければ、市側が一方的に解任や任期を設けることが出来ないようになっている。

 一部インターネットの書き込みにも、市観光大使要綱についての動向に注視する意見もある。市が定めた要綱の見直しが余儀なくされるまでに発展した、前代未聞の事案となった。

 

市長は「今後は検証する」と連呼

 番組では本紙323号の縄文祭の内容についても触れた。記事からは騒音による影響やフェリーやジェットフォイル利用者の混乱、市民への周知不足などを紹介。さらにイベント後の会場内芝生の傷み状況などに及んだ。

 Happy氏はこの事実に対し批判を受けていることについて「ホントごめんなさいって感じ。改善していきます、みたいな」と笑顔で謝罪した。番組を見た市民は「番組用のコメントや言葉遣いかもしれないが、当事者である島民としてはもう少し真面目に謝罪して欲しかった。ただ、テレビでは謝罪していたが、今に至るまで島民に向けた直接謝罪は行われていない」と厳しい口調で話した。

 また市観光大使に任命した白川市長への電話インタビューもあった。白川市長は「検証する」との言葉を繰り返し、Happy氏による今後市内での企画動向についても「観光大使にふさわしくないと思えば許可はしない」と厳しく締めくくった。