2023.2.22離島と本土の格差是正に尽力
山田勝彦衆議院議員(立憲)が国政報告
長崎3区から選出された衆議院議員で立憲民主党の山田勝彦議員(43)は11日、壱岐の島ホールで国政報告会を開き、支援者ら約50人が参集した。昨年11月に可決した改正離島法の法案作成時の与野党協議に深く関わり、衆議院国土交通委員会で国会議員を代表して附帯決議案を読み上げた実績など、離島振興対策に関する活動を報告した。さらに、現在本市の課題となる「認定こども園」についての持論も語った。
昨年、第208回国会「三ツ星議員」が公表され、713人の国会議員の中から14人が選定、その中に山田議員も表彰を受けた。議員の質問回数や時間、議員立法発議者に名を連ねた回数、質問主意書の提出件数などを集計し、高スコアの議員を選定・表彰する。NPO法人万年野党(田原総一朗会長)が表彰した。
山田議員は2021年10月の衆院選長崎3区の比例区で初当選以来、「オーガニック給食の実現」や「物価が高い離島の消費税を0㌫に」の考えを一貫する。さらに、改正離島法の法案作成に尽力した働きなどが評価された。今回は「三ツ星議員」の功績を携えての国政報告会となった。
報告会では国会の現状を述べた。「岸田政権は現在のタイミングで防衛費増税を言い出した。国会を軽視して、政府が独断でこのような国の大事を決め方針を発表した。税金の使い道が問われ、あまりにも民主主義を軽く見ている。生活が苦しいと言っている国民がいるにも関わらず増税を求めている。政治家には庶民感覚が必要。今の政府与党にはその感覚がない」と厳しく指摘した。
「防衛費増税より、まずは景気対策。今は時限的にも消費税を5㌫にすべき。私達の景気が良くなり暮らしが安心できるようになって、税収が増えればそれを防衛予算に回すべきではないか。そして『ミサイルよりもメシ』。国家の大きな役割は、国民を飢えさせないことと戦争をしないこと。今必要なことは、食料自給率をいかに上げていくか。農業や漁業の方々に、国が直接支払いで所得補償を行う仕組みが必要だ」と述べた。
また、「優先すべきこの国の最大の課題は、人口減少と少子化。子ども達を産み育てられない国になっている。防衛費を倍増するよりも、子ども予算を倍増する方が優先だ」と熱弁した。
「オーガニック給食の実現」金子元農水大臣から支援の回答
昨年2月、予算委員会分科会で、同県選出議員の金子元農水大臣に対して初めての国会質疑を行った。金子元大臣には「オーガニック給食の実現」を提案した。「日本の農業の約98㌫が小規模な家族農業で、大規模農家を優遇する農政はもはや時代遅れだ。2050年までに国は有機農業の農地を現状の0・5㌫から25㌫へ拡大する数値目標を掲げた。有機農地25㌫拡大早期達成に向けての有効策になる。すでにヨーロッパなどの国々は国策として取り組んでいる」と提案し、予算支援の回答を引き出した。
山田議員は「オーガニックの街づくりに自治体が手を挙げれば、農水省がその自治体に予算をつける。県内ではすでに南島原市が手を挙げている。壱岐市でも住民の声を集め、行政と一緒になって農水省にぜひオーガニックビレッジ宣言をしていただきたい」と提案した。
夢物語ではない「島の消費税0㌫」
昨年、立憲民主党の離島振興プロジェクトチーム事務局次長として党の提言書をまとめ、衆議院国土交通委員会では国会議員を代表し附帯決議案を読み上げた。これまでの政治活動で各離島に足を運び、島民の声を聞いて回った。その考えや思いを改正離島振興法や委員会決議に反映することができた。
「離島航路の存続のため、老朽化している船や飛行機の整備費についての国からの支援強化」「島の学校が存続できるよう、島留学への支援強化や公立学校の教員定数の特別優遇」「島の看護師など医療従事者への処遇改善を政府に要求」「本土との格差が大きいガソリン価格。10年前の同法改正時から1リットルあたり10~30円の補助金があるが、未だ格差は埋められない。更なる値下げ」などを要求した。
しかし、山田議員が当初から提案を続けている「離島の消費税減税」の考えは、与党の抵抗を受け、今回の改正で法案に盛り込むことができなかった。
「政府は離島の物価が本土より10㌫から30㌫高いことを認めている。また、ヨーロッパの島では消費税減税政策が取られている。私の父が与党の政策責任者として法律を変えた離島振興法19条は『島の人達は、条件不利なために特別に税制を優遇することができる』とある。これを活用すれば、島の消費税減税は可能だ」という。
島の消費税がなくなれば本土との格差は是正され、島内消費も伸び、住民の所得も向上する予測がある。全国離島の消費税を0㌫にした場合、国は607億円の財源を要する。政府は5年間で43兆円もの防衛予算を増額する考えで、増税も視野にある。
山田議員は「43兆円の防衛予算のわずか何㌫か、島の経済政策に当てるべきではないか。国境の島で農業、漁業を続けられるからこそ、国土が守られている。政治家の決断で島の消費税をなくすことは必ずできる」と熱く訴えた。
認定こども園「建設よりも安心した子育て環境を」
山田議員は「壱岐市で認定こども園建設の問題は耳にしており、国会の各事務所や政府関係、県などにこの問題の問い合わせなどをしている。何よりも必死に問題と向き合う住民や市民団体の熱意に心を打たれた」と心象を語った。
「まず考えなければならないのは、子ども達に何かあってからでは遅い。予定地が危険だと懸念する声も聞く。そういう可能性がある以上は、大人の責任としてなんとかしなければいけない。まさに壱岐市政における民主主義が試されている問題だと思う」として、「市民から上がる声がもっと増えれば、必ず市も考えるはず。保育園の建設よりも、安心して子育てができる島にしていくことが重要ではないだろうか」と考えを述べた。