2021.4.13白川市長に反旗、リコールに向けた動き
白川市政13年に「我慢の限界、改善の余地はない」と市民団体が署名活動へ
市の財源不足を理由に4月から突如始まった住民サービス低下や補助金削減などの施策、市内で年末年始に起きた新型コロナの感染拡大の市の対応に対して、市民の不満が爆発した。白川市政のあり方に我慢の限界を越えた市民団体「壱岐の未来」は、白川市長の解職(リコール)を視野にした活動を今月下旬から始める。同団体は、市長の解職請求のため、19日に市選挙管理委員会へリコール請求を提出し、23日ごろから島内全域でリコールの署名活動に動き出す。本市のリコール署名数は、署名開始から1か月以内に有権者数2万1832人(3月1日現在)の3分の1にあたる7278人分の署名簿提出が必要となる。
同団体は、白川市長リコール開始に向けた記者会見を5日に開いた。共同代表を務めるのは、壱岐島ふるさと花火の立ち上げ時の実行委員長に就任するなどで活躍した藤尾和久氏(47)、元市議会議員で商工会女性部役員などを歴任する久間初子氏(76)の2人。顧問には元農協組合長の吉野誠治氏(72)が名を連ねる。
会見で藤尾共同代表は「市政への不安が強くなっている。また、市と市民のつながりも薄まりつつあり、市の将来に疑問が生じた」と述べ、「市民が安全安心で平穏に暮らせる社会の実現を目指す。今の壱岐には公平公正が求められている」と市政改善を強調した。
久間共同代表は「これまで壱岐を支えてきた高齢者が安心して暮らせる島ではない。今の壱岐があるのは高齢者の働きが大きい」として、高齢者福祉サービスの低下を招いた市政を批判した。
吉野顧問は「市長の施策は市民へ目線が向いておらず、市議か特定の業者などに向いているようにみえる。市民や職員の声を政治に生かせば壱岐は変わるはず。リコールは壱岐の恥をさらすようなもの。しかし、このままでは壱岐はおかしくなる」と述べた。
市民との意見交換会提案を市長が却下
先月30日、藤尾共同代表は、市の財政運営に関して、「市長と市民の意見交換会開催」を市長宛に要望した。しかし、「市長の意向としてはお受けいたしません」と返答があり、「財政状況についてはあらゆる状況で市民へ発信する」という理由で却下されている。
藤尾共同代表は「市長は市民からの直接の訴え、市民との対話、市民の声を聞く考えが全くないことが今更ながら分かった」と衝撃を隠さなかった。
同団体は「私たち市民はこれまで市長の政策や態度を見守ってきた。しかし、ついに我慢の限界を超え、将来に対する不安も到底払拭できない状態となった。もはや市長の政策や判断を信用することはできない」とし、「財源不足について勉強不足発言と市民サービスの低下」「コロナ禍での会食の事実と対応」「対話を拒否する専制的で独善的な市長の対応」の3項目の理由から、市長の解職請求に踏み込む。
リコール運動は、昨年の市長選から1年間が経過しないと活動できないことから、19日に市選挙管理委員会にリコール申請(市長の解職請求書提出)を行う予定。受理された時点から署名活動を始める。約7300人の署名が集まり、解職の是非を問う住民投票となる場合は、8月1日に予定されている市議会議員選挙と同時に行うことで、投票費用の削減を考えている。
財政不足を「勉強不足」とした市長発言は許容できない
同団体は、これまでの政策と判断により、市民の平穏無事な生活が将来にわたり脅かされることになるとして、白川市政への不信を深めた。
訴えには、「市の財源不足に陥った状況について、市長自らの『勉強不足』による長年にわたる基金の取り崩しの結果、市民に向けた説明が十分でないまま市民に痛みが伴う財政改革が始まった。しかも、市長主導の政策は予算削減が少なく、偏りがある」とする。
白川市長は市議会2月会議で「市民に痛みを伴う施策」を明言した。3月会議では、昨年の当初予算から18億2千万円の大幅減額予算が可決したが、その予算内訳で約18億円が基金の取り崩しによるものだった。
このことから、市民活動などが対象の補助金や負担金が削減され、高齢者サービスや子育て関連、教育分野に関する施設、旧中学校の体育館や市営文化施設閉鎖などに影響が及んだ。同団体は「市民への周知や説明もないまま、一方的に市民サービスを削る施策をしている」と憤っている。
さらに、財源不足について白川市長が「勉強不足だった」と答弁したことについても、「前代未聞の衝撃的事実。市長の責任に伴うサービス低下を、市民が真っ先に負うことは到底許容できない」とし、「13年間にわたり、財政に研鑽を積んでいない市長が、残りの任期を全うできるとは思えない」と批判した。
新型コロナ感染時の会食にも言及
昨年12月18日、新型コロナウイルスが全国的に蔓延する中、市長と議員ら約30人が会食をしていた事実についても言及している。
同団体は「昨年12月24日に開いた市職員の忘年会が間接的な要因を作った。この忘年会がきっかけで市職員を含む56人が感染し、最も経済が活気付く年末年始に恐怖と混乱を市民に与えた。その後も適切なアナンウンスもせず、市民を不安と恐怖に陥れた市長の責任は重い」とした。
「同様の事案を恐れる市民に対して、専制的で高圧な態度には何ら反省が見えず、今後も改善の余地がない」とし、「市民が平穏に暮らせる公平公正さが求められる」と述べた。