2019.1.22生活道路工事が未着工のまま

平成24年市議会で可決するも未だ工事着工せず

 

 平成24年の市議会9月会議で、瀬戸浦々会と周辺公民館館長らの署名陳情による「芦辺町瀬戸浦の市道、恵美須から大久保線の幅員拡張工事」が提出され審議した。市議会の採決は賛成多数で可決し、市側も議会判断を受けて拡張工事に前向きな判断を示した。しかし市議会採決から6年が経過した現在も拡張工事のめどは立っていない。そのため同道路を通行する路線バスや乗用車の接触事故など走行上の危険を抱えたままになっていることが、地域住民の情報でわかった。

 

 瀬戸浦の市道、恵美須から大久保線は市内バス路線であり、地域住民の重要な生活道路として活用されている。しかし道路幅の狭さと曲がりくねった道が続くため、普通自動車の離合時の不具合や、路線バス通行時に周辺民家の屋根や樹木に接触するなどの問題を各所に抱えている。昨年7月にも路線バスによる接触事故が発生したばかりだ。

 6年前、危険な状況に地域住民は「厳しい市の財政状況は十分承知している。しかし地域住民が安心して歩行でき、車の走行ができる道路拡張を1日でも早く実現してもらいたい」と陳情を提出した(平成24年に提出)。

 陳情を受けた当時の市議会は産業建設常任委員会に議案を付託。同委員会で審議され、拡張工事の必要性を認め、まずは局所的な部分からの工事を進めることと判断した。委員会付託を受けて本会議も賛成多数で可決。採択を経てその判断を市も受けた形となっている。

 しかし平成24年の市議会可決から約6年が経つ現在、問題箇所の局所的な拡張工事さえも行われていない。周辺住民は「市議会で可決して何年経過しても道路の通行は危険なまま。陳情を可決したのに工事もせず、その後の経過説明もない。議会軽視なのか、市民軽視なのか」と憤りを見せた。

 路線バスを運行する壱岐交通株式会社のドライバーも「過去には民家の屋根に当たるなど事故があり、慎重に運転をしている。しかし箇所によっては道路沿いに大木があり、バックミラーに枝を当てないと曲がれない場合がある。結果としてバスの側面に傷が入ることがある。さらに道路沿いなどに駐車車両があると走行は不可になる。なんとか地元住民の協力で駐車しないように気を使ってもらっているのが現状」と苦慮を語った。以前、屋根に接触したために瓦を落としてしまった際に、同社が謝罪をした事もあったという。

 さらに同道路沿いには少弐公園や壱岐神社などの名所があり、観光バスのツアーもあるが、大型バス運行による危険回避のために、公園付近の飲食店「豊月」辺りで折り返しせざるを得ない状況にある。

 市建設課は「毎年、浦会と話し合いをし、側溝に蓋をするなど対処を進めている。同路線の中間部分は対処したが、民家が立ち並ぶ箇所は用地関係があり、簡単には進められない。今年も浦会と話し合いをする機会を設ける」と状況の把握はあるものの、根本的な解決が困難な状態を述べた。

 住民の一人は、「再度、市議会に要望し早期改良を求めたい」と話した。