2019.3.12業務延長でサービス停止を回避

市ケーブルテレビ指定管理者移行、業務延長の判断をするも根本解決はまだ先に

 

 4月1日からの、市ケーブルテレビの指定管理者移行時期が刻一刻と迫っている。今後の動向を見守る中、暫定的な方針が見えてきた。新年度以降の市ケーブルテレビ関連のサービスは、一定期間まで壱岐ビジョンが継続して業務を行うことがわかった。現時点(3月5日)で、市は今後の運営についての詳細な説明はせず、施政方針の中で白川博一市長が「移行に向けた協議を進めている。利用者への影響はないようにする」とのみの説明にとどめている。これまでの調べから、新年度に入っても、すべての問題解決には時間がかかるようだ。また、この段階に来て指定管理者選定委員会の審査方法にも疑問が生じ、混乱の度合いは増している。

 

 これまで紙面で、市ケーブルテレビ契約者に向けた新年度以降の説明を市に求めているが、詳細な説明は行われていない。市民は「利用者を第一に考えるのであれば、市民に説明すべき。なぜ説明の場を設けないのか。多くの利用者を蔑ろにしてるのではないか」と不安と憤りをあらわにしている。

 一方、現指定管理者の関西ブロードバンド株式会社(三須久代表取締役/以下、関ブロ)は、この問題が表面化する昨年から「現在、何が起きてどのような事態なのか利用者へ説明すべき」と訴えている。しかし、市との協議中であり、一方的な説明機会を設けることを避け、なるべく市と足並みを揃えてきた。指定管理者移行時期の4月は目前に迫り、一刻の猶予もないことから関ブロは当紙の独自取材を受けた。

 

4月からの動向を聞く

 市民が抱える不安の多くは、市ケーブルテレビと実質的に業務を行なっている壱岐ビジョンに関して。具体的には「今後はどうなるのか。ケーブルテレビ放送やインターネット、IP電話などのサービスはこのまま使えるのか」というもの。

 壱岐ビジョンは、市ケーブルテレビ番組制作やインターネットやIP電話関連の直接業務を行い、関ブロをはじめとした市内外数社と個人出資で設立した会社だ。本来ならば指定管理者とは別になるが、関ブロ出資の会社であることから影響は及ぶ。

 関ブロの三須社長は「壱岐ビジョンとしては、新年度からも継続して放送を続けることを約束する。それは協議の進展に関わらず、現状の段階ではサービスを継続する」と答えた。しかし継続の期間については、市と関ブロ双方が協議を行い合意してからとなる。当面の目安は半年か1年としているようだ。

 しかし昨年8月に新指定管理者が決まり、半年が経過しているにも関わらず、結論が出ていない事態は異常としか言いようがない。

 三須社長は市民に対して説明責任があるとし、「引き継ぎの話し合いの中で、折り合えなかった原因は何なのか。半年の間になぜ引き継ぎができなかったのか。またこれまでの半年でできなかったことが、今後の半年や1年でできるのか。市も我々も明確に示す必要がある」と話した。

 

市ケーブルテレビの番組はどうなる

 関ブロと市が協議段階との理由から、これまで壱岐ビジョンは動向を静観してきた。新年度以降の番組制作についても、収録や制作した素材は使用するのかしないのかさえ見えていなかった。

 しかし現時点で新年度以降の業務継続が見え、現場サイドは、ようやく新年度以降の放送の収録に動き出した。混乱の影響から、2月末までは年度内放送分までしか用意していなかったため、急ピッチで制作を行うことになる。

 本来、番組企画は1年間を通して季節のイベントや祭り、行事を組んで進めている。年間のスケジュールや方針は決まらず、他ケーブルテレビとの連携番組も同様に、未定のままにしていた。

 協議による混乱は、市ケーブルテレビ番組審議委員会の開催にも及ぶ。会は半年近く行われておらず、市と壱岐ビジョンの番組制作に関する調整もないままだ。継続の道筋が見えた現在、早急な委員会の開催も必要となる。

 

インターネットアドレスやIP電話は使えるのか

 指定管理を終えた後も壱岐ビジョンは会社として存続するようだ。また、市から新年度以降の業務継続を受け、現在のインターネットアドレスは残すことになった。三須社長は「3月31日をまたいでもこのままサービスは残るので、影響はないようにする。また、壱岐ビジョンが指定管理者変更後も会社として残るのであれば、アドレスやIP電話サービスも残す考えがある」とした。

 市民からは、アドレスの変更や再契約の手続きは面倒で大変だとの声が多い。「なぜ利用者の労力を費やしてまで変更する必要があったのか」との声は、先月開催の市議会報告会で市民からも意見にあがっていた。

 

指定管理者選定評価委員会の評価点

 指定管理者指名を選定するため、昨年8月に市は選定評価委員会を行った。部長クラスの市職員4人と、番組審議委員から選ばれた市民代表4人が評価点を下している。その際の委員による極端な評価点数に疑問が生じている。

 先月開催の市議会報告会で市民の意見として「極端な評価をした委員点数は除外すべきが通例だ」とある。注目すべきは、意見を述べた市民こそが番組審議委員会の委員だったことだ。しかし意見者は選定委員には選ばれていない。選定評価委員の選出基準も不明のままだ。公平公正な選定評価委員会だったのか、今後の検証が必要になりそうだ。