2019.3.05説明をしないままでいいのか(市ケーブルテレビ業務移行問題)

 市ケーブルテレビの新たな運営が始まる4月1日、これまでに現指定管理者の関西ブロードバンド(株)(以下関ブロ)と市が、弁護士を交えて業務移行の協議を行っている。しかし新年度まで1ヶ月を残したこの時期になっても、方針や対応などの詳細が公表されていない。新指定管理者となる光ネットワーク(株)も、協議の行方を見守るしかないようだ。

 

 そもそもの移行難航の理由は、市ケーブルテレビ開局時に関ブロと市が交わした、契約者の個人情報の取り扱いや、指定管理者が独自に導入したサービスの権利など、業務内容や約束事を記した協定書の解釈の違いにある。関ブロ側は独自サービスのために身銭を切って機材導入などを行ってきた。無条件に譲渡は無理というもの。しかし市が主張する協定書に基づけば、市の権利との解釈も。個人情報取り扱いは、法に沿った場合や、また昨今の社会事情を考慮すれば、簡単に右から左へとできるものではない。

 市民から寄せられる声に「4月からインターネットのアドレスや電話は使えるのか。壱岐ビジョン制作のテレビ番組が見られなくなるのでは」という、生活に関わる不安がほとんどだ。

 

 インターネットの件に関して市は、昨年9月の市議会産業建設常任委員会で「いずれアドレス変更は必要だが、当面は移行期間を設ける」と報告している。しかしよく考えてみれば、利用者のアドレスの変更は簡単なものではない。仕事で利用している人や、株式投資などの利用者もおり、市内には約4000人の契約者がいる。この利用者に対して、一定期間内でアドレス変更を要求しているのだ。問題は他にもあるが、ここではとても書ききれない。

 

 先月13日の議会報告会での市民の意見にある「なぜ、このような事態になってまで管理者の変更をしなければならなかったのか。市や議会はきちんと精査をしたのか」に尽きる。市民サービスを第一として行わねばならない行政の、詰めの甘さが露呈してはいまいか。不透明な指定管理者選定委員会や、現指定管理者の考え、協定書など確認すべき事項に不備はなかったのか。

 

 4月1日までの期間は残り少ない。方針を示すかと思えた市議会2月会議もなかった。考えられる解決策は、現指定管理者である関ブロのしばらくの業務延長しかないが、これについても市と関ブロの協議次第だ。市民の生活に影響があるのかないのか、早急に説明すべきだ。(大野英治)