2023.12.22壱岐商で株式会社IKISHOを登記設立
壱岐商(戎野和幸校長)は8日、株式会社IKISHOを設立し、会社創立総会と第1回株主総会を開き、全校生徒218人が出席した。株式登記は5日に終え、全国で7番目の設立となったが、県内高校では初、全国離島初となる先進的な取り組みを進めた。全国の商業系の高校では、生徒による株式会社を設立し、生徒が株主となって経営に参加する「高校生株式会社」の取り組みが進んでいる。
生徒全員が株主、経営学ぶ
高校生株式会社は、商品開発や販売、決算や株主総会なども体験する。会社経営を学べる実践的なビジネス教育で、卒業後の社会活動や起業家育成にもつながる取り組みとして注目が集まる。
同社を設立した目的には「日本一の島の専門学校を目指す」ことを掲げている。市内企業やNPO団体などと連携し、地域と協同して教育活動に取り組むことで、島の活性化に寄与する。そのため、授業で学んだ会計や簿記などの知識を活用し、社会活動を実践していく。
会社設立に向けて4月から活動を始め、5月には職員への周知やPTAの承認を得た。8月には勝本町で壱岐エテマルシェを開催し、30万7648円を売り上げた。10月には会社名を決め、株式会社はかた本舗との共同開発商品「イカゆずBeans」が18万4320円の売り上げとなった。11月には、第10回フードグランプリに出場し、6万7500円を売り上げるなど、着々と実績を重ねてきた。
会社設立にあたっては、一般財団三菱みらい育成財団(東京都)の助成金を原資とし出資金22万円、1株500円で440株を発行。商業やマーケティングなどを学ぶ全生徒が1人2株1000円、計436株の譲渡を受け株主となった。設立までは生徒10人がプロジェクトリーダーとして準備を進め、設立後は10人全員で共同社長を担う。
設立時の代表取締役には、同校卒業生で商業科の教員として同校勤務の経験がある、勝本町の坂口行擴さん(85)が4期4年間を務める。役員報酬は、坂口さんの要望により生徒達の活動費に充てるため、無償となる。決算は毎年1月、第1回決算は来月26日に予定されている。
プロジェクトリーダーの一人で情報処理課3年の野中泰和さん(17)は「会社設立を迎えることができてうれしい。私達は来年卒業し後輩達に受け継がれていくが、卒業後も協力していきたい。高校生を中心とした会社なので、本市に新しい若い力を与えられれば良いと思っている」と意気込みを語った。
戎野校長は「みんなのアイデアで利益が出れば配当金が出ることもある。授業で学んだ簿記などを地元企業に教え売上に計上するなど、学びを活かすことができる。みんなで力を合わせて壱岐商を良くしていきましょう」と話した。