2018.9.04他にも無許可で工事執行

少弐公園周辺の工事で他にも事前申請なしが発覚

 前号でも示したように、少弐公園(芦辺町)は国定公園として国が定め、工事執行は自然公園法に抵触するために自治体独自ではできない。当初の取材では、地域住民の要望と生活面の影響を考え、市民目線の対応ゆえの市から県への申請不備工事と思えた。しかしその後の取材で、昨年6月末と7月初めに本市を襲った集中豪雨の被害は複数あり、県への無許可工事が他にもあることが判明した。

 前号で問題にした工事箇所は、国定公園内である少弐公園周辺住民からの大雨時の民家浸水被害対策の要望に対処したもの。雨水対策として市は公園駐車場内に排水の為の側溝を作り、昨年11月から12月にかけて工事を進めた。
 この事について市は「市民の要望を受けて早急に対応したため。今月9日に事後報告として県に申請を進めている」とした。民家への影響を優先した為の不備であるとの答えだったが、少弐公園周辺では他にも工事が行われ、民家や住民への直接影響がない箇所も含まれていた。
 自然公園法では国定公園の工事は自治体独自で進めることを禁じている。環境保全の観点から、必ず県への報告を怠ってはならない。また勝手に工事を行なった場合は同法では違法行為とみなし、厳しい罰則が定められている。特に自然公園法第20条には細かく規定されている。
 罰則は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金などの細かな処分が定められている。法律がある以上は、事後報告で済ませられるのかが問われる。ただ違法行為になるため、なんらかの罰則は免れないとの専門家の意見もある。
 市担当課は「他の箇所については原形復旧の工事になり、法の規定範囲にはならないと県からも聞いている。ただ駐車場側溝工事同様に、改めて県に対し事後申請を進めてはいる」と答えた。
県の自然環境課によれば「市からは非常災害としての届け出は今月に来た。他工事を含めた詳細はまだ報告を受けていないので、県としては待ちの状況。しかし事後報告になっても、工事から県への届出期間は14日以内と決められているので、認識不足は否めない」と答えた。
 非常災害の場合、同法の中で14日以内に届出を行うよう決まりがある。園内付近の側溝工事などは昨年12月に行い、県への届出は今月9日。約9ヶ月間もの届出遅れとなっている。県は「このことも含め、市からの報告を待つしかない現状」と明確な返答を避けた。