2021.12.21イルカパーク、市の保有株売却で民営化に不安
議案審議でイルカパーク運営と指定管理者経営に質問集中
市議会12月会議で議案に対しての質疑を行う13日、約50分の議員から審議のほぼ半分が、イルカパークの運営と同施設の指定管理者イキパークマネジメント株式会社(高田佳岳代表)の経営状況に集中した。同社は2018(平成30)年の設立以降、資本金100万円のうち、市が25万円(25㌫)の株式を有していた。9月29日に同社に売却、これにより同社運営などは市長の調査対象から外れることとなった。同社は令和4年度から3年間、同施設指定管理者の継続に向け、議会で承認を得る議案を上程した。
山口議員「株の売却後、経営把握は大丈夫か」
市が所有するイルカパークの指定管理者イキパークマネジメント株式会社の株式25㌫を同社に売却したことで、「壱岐市長の調査等の対象となる法人を定める条例の一部改正」の議案について、山口欽秀議員が質疑した。
山口議員は「なぜ市は株を売却するに至ったのか。市長が同社の調査から外れるとされるが、指定管理者として適正な予算執行となっていることをきちんと把握できるのか」と問うた。
企画振興部長は「株の売却の理由はすでに9月議会の常任委員会で説明した。イルカパークの再生が目的であり、いずれは民営化して経営を担っていく。来年度からの指定管理は公募による選定になる。市が株式に関わる立場では公正な公募ができないことから売却に至り民営化した」と売却理由を述べた。市の運営把握については「引き続き、定例会や同社からの報告書で把握し、それらを議会に提出する。そこで決算審査をする」と述べた。
山口議員は、同社が引き続き指定管理者に指定されたことについても質問した。「同社の資本金はこれまで通り100万円のままか。公募で事業計画書を提出し、書面には年間4万人を来場目標とある。この目標値を市はどう考えているか」と問うた。
企画振興部長は「資本金はこれまでのままだ。計画は目標4万人だが、同施設のリニューアル以前は7万人の実績がある。リニューアル後の初年度は3万人を超えた。施設内メニュープランも充実し、目標値は妥当だ」と答えた。
山口議員が「同計画には社員8人、パート5人で計13人とある。事業計画の売り上げと給与の計画に矛盾があるが」と問うと、企画振興部長は「問題はない」とした。山口議員は「資本金100万円で13人分の給与の支払いは大丈夫なのか。この件について、市と同社の協定はきちんと結ばれているのか」と再び追求した。企画振興部長は「これまでもこの体制で運営してきた。協定は11月29日に仮協定を結んでいる。議会の議決を経て本協定の締結になる」とし、議会への報告を約束した。
森議員「明確な経営状況の把握を」
来年度以降のイルカパークの指定管理料800万円は、イルカの飼育管理や生命維持に関することなどを対象とし、施設の維持管理費は入場料で賄うことが基本になる。
森俊介議員は「収支計画書にある来年度以降の旅費交通費は、これまでと比較して約1割になるなど、大幅な減額の記載がある。これで今後の運営は大丈夫か。なぜ昨年度や今年度は10倍もの経費がかかったのか」と問い、企画振興部長は「今年度までは国の交付金などの事業費があった」と説明した。
また、「指定管理の公募で前年度の決算書の提出があるが、3月末の決算からすでに9か月が経っている。11月下旬、高田代表はSNSで『来場者が半数以下に激減し、経営が厳しい』旨を発言し、一般の人に対して年度末まで金銭的なサポートを求めている。このことを市は把握しているか」とし、「市は一体いつの時点の決算を把握しているのか」と問うた。企画振興部長は「SNSの配信は知らない。経営状況は11月末までのもの」と答えた。
森議員は「交付金がなくなった後に、これ以上支出を減らせるのか。できなければ資金がショートする。指定管理と自主事業別の決算がないと、経営状況は把握できない」と指摘したが、企画振興部長は「問題ない」と答えた。質疑後、森議員は「もう少し質問に沿った明確な答弁であればいいのだが」と話した。
音嶋議員、自主事業に対して追及
音嶋正吾議員もイルカパーク関連質疑として、同社に対して市の株売却と指定管理者の状況について質問し、市による株の売却の時系列に疑義があるとした。
音嶋議員は「9月29日に市は同社へ株を売却したとあるが、間違いないか」と問い、企画振興部長は「市保有の株25㌫の売却をしている。間違いない」と答えた。
音嶋議員は「この答弁で市は純然たる売却をしており、同社が登記手続きを行えば市の株保有はないとなる。このことで問うが、同社は8月31日に郷ノ浦にある不動産を購入している。この時、市はまだ株主だ。この事実は知っているか」と問い、企画振興部長は「存じ上げない」とのみ答えた。