2019.3.26「会社登記に問題あり」と質疑
壱岐イルカパーク指定管理者指名の件、市議会で疑問点を追求
市議会3月会議の議案審議で、壱岐イルカパーク指定管理者指名に関して音嶋正吾議員と久保田恒憲議員が疑問を呈した問題は、引き続き産業建設常任委員会の審議に付託された。音嶋議員は「公の施設であるイルカパーク内に指定管理者は会社登記をしている。妥当なのか」と問い、久保田議員は予算特別委員会で「指定管理者の代表は、過去に他施設で動員増などの実績があるのか。またイルカに関する専門知識や施設運営のノウハウは要しているのか」と問うた。イルカパークは来年度以降から本市観光振興の主要事業であり、期待を寄せる中での疑義となっている。
13日の産業建設常任委員会で、音嶋議員は「議案審議でも述べたが、昨年9月に同社設立の予算執行となっている。しかし議員は全員協議会で説明を受けたのみで、同社設立資本金100万円のうち、市が25万円を支出することは聞いていない。通常は議員への説明は議事録に載る。また公文書は重要だ。正式な段取りを経たのか。なぜ改めて議員用タブレットへ配信をするなどの追加説明をしなかったのか」とし、また、「同社の会社登記を調べたところ、イルカパーク内に登記をしている」と指摘した。
当紙が調べた自治体法務等の資料には、「指定管理者に対して補助金は交付できない。委託料との二重払いになる。交付の場合は管理業務に使用するのではなく、指定管理者が行う他の公益的活動に対して支出する」とあり、指定管理業務とは関係がないことを明確にする必要がある。そうなると、関連業務に関する指定管理業者へ市からの支出は不適切となる。
また、「公の施設を指定管理者の事務所にはできない」ともなっている。公の施設の一部を、管理業務の必要性を超えて指定管理者の団体事務所で使用はできない。あえて使用する場合は、目的外使用許可が必要となる。同社指定管理は明らかにイルカパークに関する業務であり、同施設に会社登記を行なう場合は、目的外使用許可の有無が問われる。
一般的に指定管理者指名は自治体からの公募で決定する。市ケーブルテレビ指定管理者移行の例もあるように、先々では管理者変更もあり得ることから、公の施設での会社登記を不適切としている。管理業務の半永久的独占を避ける意味もあるようだ。
音嶋議員の質問に、企画振興部長は「妥当だと判断している」と反論した。一方、音嶋議員は「法的根拠を確認し、瑕疵がないようにしてもらいたい」と念を押した。
15日の予算特別委員会で久保田議員は「イルカパークの指定管理者代表は、同様の施設での経験や実績などのノウハウはあるのか。市の説明で、代表者にはアドバイザーなどの肩書きはあるが、実務経験があるのか疑問だ。これからイルカパークを売って出ようとする中で不安がある。また集客ターゲットも不明だ。ノウハウを持つ人が真剣に取り組まねば収益は上がらない」と指摘した。
壱岐イルカパーク(勝本町東触2668番地3)は、来年度から新たな収益事業として、同施設内に会社設立登記(平成30年11月9日会社設立)をしたイキパークマネジメント株式会社(高田佳岳代表取締役)に指定管理者として運営を委託した。
これまでイルカ見学をメインとしていた施設は、イルカのみに依存しない新たな展開として、カフェ営業やバーベキュー、リゾートキャンプなどのアウトドア関連事業を予定し、気軽に滞在できる施設となる。高田代表は「イルカパークからドルフィンリゾートへ」をコンセプトに収益基盤を固めている。また、同施設観客動員数を現在の約2万5000人から、5年後までに約5万人の観客動員を目指し、本市観光を左右する起爆剤として期待される。
イルカパークリニューアルは、来年度以降からの本市観光の重要な振興策として位置づけられる。疑義や不安を払拭し、収益が期待できる運営で、観光客や市民に親しまれる施設を目指してもらいたい。